京都、花園駅のほど近くにある妙心寺。その塔頭である東林院は普段非公開ですが、以前に
精進料理の取材をさせていただきました。その際に、同じく特別公開となる「沙羅の花を愛でる会」をご案内いただき、6月に訪れました。
東林院の方丈前庭には十数本の沙羅の木があるそうで、梅雨の季節に白い花を咲かせる沙羅の花を愛でながら、お抹茶や精進料理をゆっくりといただけるのが「沙羅の花を愛でる会」です。
今年(2025年)は6月9日〜6月22日に行われ、われわれは最終日直前に伺うことができました。
※毎年、沙羅双樹が見頃を迎える時期に開催するため年によって異なります。会には決まった1日のスケジュールというのはなく、予約も不要です。受付を済ませてから本堂に入ると、多くのお客さんがそれぞれのペースで、それぞれの楽しみ方をしているようでした。
この日はとても暑い日でしたが、本堂の中はとても気持ちのよい風が抜けます。時間の流れもとても静かに感じられて、心が落ち着きました。
座って庭を眺めていると、お抹茶と上生菓子を運んでいただきました。白と黄色のかわいらしい上生菓子は、京都の老舗和菓子屋「鼓月」のもの。こちらの会のために、沙羅の花をイメージして特別に作っているのだそうです。見た目の美しさもさることながら、上品な甘さでとても美味しかったです。
沙羅双樹の花は椿によく似ていて、日本では“夏椿”または“梅雨椿”とも呼ばれているそうです。平家物語でも有名なこの花は、朝に咲き、夕方には散ってしまう「一日花」。庭の緑苔の上に落ちた花がとても綺麗ですが、今年(2025年)はいわゆる梅雨の時期に雨がほとんど降らず、花が咲くのが大変遅いとのことでした。西川住職は「皆さんにたくさんの花を見せられず申し訳ない」とおっしゃっていました。
とはいえ、緑の葉っぱの中に咲く白い花はとっても可愛らしく、方々で「あそこにもあるね。ここにも」などと静かに声が上がります。
法話もありました。
仏教と沙羅の花の関係をユーモアを交えながら、楽しくお話ししていただきましたが、「花は枝から離れたら二度と戻らない。この刹那にしか存在しないので、今この瞬間をしっかりと味わい、後悔のないように生きることが大切である」というお言葉が身に染みました。
今見ている花は、明日にはもう見られないのかと思うと、その美しさはより感じ入るものになりますよね。来年もまたその日限りの素敵な風景を求めて伺いたいなぁと思いました。
Text & Photo:tabigatari editorial departmentいつもと違う京都府観光には、〈東林院〉の沙羅の花を愛でる会がおすすめ。
東林院 沙羅の花を愛でる会
所在地 | 京都府京都市右京区花園妙心寺町59(Google Map) |
アクセス | JR「花園駅」から徒歩約8分 |
電話番号 | 075-463-1334 |
営業日時 | 毎年「沙羅双樹」が見頃の時期に開催(2025年は6月9日~22日) |
料金 | 抹茶付1,600円、抹茶と精進料理付6,100円 |
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