名建築のある景色に溶け込みながら、ここにしかない食体験を。
京都市岡崎エリアは、〈
細見美術館〉や〈京都国立近代美術館〉などのアート施設が並ぶエリア。その中でも帝冠様式と称される和洋折衷の建築物が目を引くこの〈京都市京セラ美術館〉本館は、1933年の開館以来その姿が守られてきた。2020年のリニューアルオープン後も、新たな機能や魅力を携えつつも、従来の建築が保全されている。
今回の目的地は、そのリニューアルで誕生したカフェ「ENFUSE(エンフューズ)」。隣接する岡崎公園の緑を感じながら、カフェのピクニックセットが楽しめる。歴史と文化が息づき、さらに自然にも囲まれた岡崎エリアならではの食体験だ。
※ピクニックは事前予約制です。 新旧の京都らしさを詰め込んだお弁当。
「ENFUSE」を営むのは、表参道や蔵前のロースタリーカフェ「Coffee Wrights」、渋谷区や墨田区で展開するコミュニティマーケット「Marked」など、街とのつながりを大切に店づくりを行う「WAT」。関西初出店となるこの店では、豆腐や肉(丹波鶏や京の都もち豚など)など京都産の素材を取り入れながら、食事やスイーツを提供している。
「古い建築に新しいストラクチャーが加わった美術館のように、おばんざいをデリスタイルにしてみました。カフェを作るときに『岡崎公園を賑わせる仕掛けができないか』とのアイデアから、ピクニックセットを考案しています」と話すのはカフェの店長さん。お弁当の中身を見ていくと、この日は「菜花のおひたし」「鰆の西京焼き」など京都らしさを感じられる料理に加え、「九条ネギとパルミジャーノのオムレツ」「芽キャベツのサブジ」と新たな魅力を発見できるものも。昆布と鰹でとった出汁のおいしさ、味噌の旨みなど、しみじみおいしいものばかり。
食材は、「吉田農園の赤米ご飯」、「京都奥丹波鶏の唐揚げ」、「京都岡崎服部食品の厚揚げ」、「加藤順漬物店の柴漬け」などをセレクト。
食材だけでなく、道具も見どころ。テキスタイルブランド「SOUSOU」の手ぬぐい、竹又 中川竹材店の竹籠など、道具からも京都のものづくりに触れられるのもうれしい。竹籠に入ったセットの中身は他に、ピクニックマップ、レジャーシート、ドリンク、焼き菓子まで。カフェに置いてある本もレンタルできる。
ピクニックセットの利用時間は2時間だが、延長も可能。気持ちのいい天気の日には、お気に入りの場所を探してのんびり読書に耽るのも贅沢な過ごし方だ。
15種類のデリプレートで季節の京都をいただく。
もちろん、店内も居心地の良い空間だ。アールのかかった大きな窓からは通りが見渡せ、緑や日差しが気持ちいい。ランチにはカレーやサンドイッチなどが並ぶなか、お弁当よりさらに品数の多いおかずがいただけるデリプレートがおすすめ。
京都旅に来たからには、おばんざいをいただきたい人も多いのでは。とはいえ、おいしくて気軽に入れるお店を探すのは京都初心者には難しい。この「京の素材のおかずプレート」に、15種類ものおかずが盛り付けられ、「おばんざい欲」を満たしてくれる。この日は、「西京味噌ラタトゥイユ」「京もち豚のローストポーク」「鶏とひじきのおからコロッケ」「万願寺唐辛子のグリル」「小蕪のすりながし」など。彩りよく華やかで、旅先の非日常感も味わえそうだ。
料理に使う野菜については「生産者とつながっているとお互いに助け合うことができます。たとえばレモンが農家で余っていたときには、たくさん使えるように工夫しました」と店長さん。こうしたサステナブルな取り組みも素敵。
系列店のコーヒーがいただけるカフェタイムもぜひ利用したい。ショートケーキやタルトなどフルーツをふんだんに使用したスイーツは、その可憐な佇まいにうっとりとしてしまう。
旅の拠点にしたくなるカフェ。
営業は19時まで(ラストオーダー:18時)。夕暮れ時には「京都醸造」のビールや、「mitosaya薬園醸造所」の蒸留酒を片手に、アペリティーボを楽しむのもあり。旅の行程に加えれば、街の楽しみ方が何倍にも広がりそうだ。
Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakutoいつもと違う京都府観光には、京都市京セラ美術館の〈ENFUSE〉がおすすめ。
ENFUSE
所在地 | 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 京都市京セラ美術館内 |
アクセス | JR京都駅からバスで約30分 |
電話番号 | 075-751-1010 |
URL | https://enfuse.jp/ |
営業時間 | 10:30〜19:00 |
休業日 | 美術館に準ずる |
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