滋賀県の南東部に位置する甲賀市は、三重県と京都府と接している。745年に聖武天皇によって紫香楽宮が造営されたり、現在では甲賀忍者として知られる甲賀武士の里であったりと、歴史的魅力がたくさん。日本六古窯の一つである信楽焼の産地としても有名だ。

東端には標高1000m級の鈴鹿山脈が走っている。琵琶湖へ流入する河川で最長の野洲川、信楽盆地の中を流れる大戸川など、山も川も豊かな自然が広がっている。ここは、五街道の一つである東海道が東西を横断し、かつて水口宿と土山宿が置かれていた。大阪、名古屋からは100キロ圏内にあるなど、現在でも近畿圏と中部圏を結ぶ広域交通路が通っている。
 
瀬戸、常滑、備前などに並び日本六古窯に数えられている信楽焼は、付近の丘陵で採れる土の性質による独特な温かみのある“火色”と、自然釉であるビードロ釉と焦げたような風合いが特徴だ。特に狸の置物で知られ、現在では「わび」「さび」が感じられる日用の陶器も造られている。そのほか、土山茶や朝宮茶など、有名な日本茶ブランドも。
 
〈甲賀の里忍術村〉〈甲賀流忍者屋敷〉など、甲賀忍者の歴史に触れられる施設があるほか、信楽焼を発信する〈滋賀県立陶芸の森〉〈信楽古陶館〉など、地域の文化を知れるスポットがいろいろ。郊外の山中にある〈MIHO MUSEUM〉といった、日本有数の美術館もあり、さまざまな目的で観光に訪れられる。

 

Text: Kahoko Nishimura
Photo: Natsumi Kakuto



 


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※記事中およびイラストマップの情報は2022年11月の情報です。掲載されている情報が現在とは異なる場合があります。