静岡の景勝地に立つ、開放的なレストラン。

静岡県静岡市。静岡駅から東海道本線で2駅の草薙駅で降りると、駿河湾側に小高い丘が見えてくる。国宝の久能山東照宮や日本平ホテルなども擁する景勝地、日本平の北側の麓に、静岡県立美術館はある。有度山の豊かな自然の中に立つ、悠々とした姿が印象的だ。建物の前には池が配置され、その豊かな自然と調和している。
その池も望めるレストランが、今回の目的地。美術館の目玉である彫刻家になぞらえ、〈Rodin TERRACE〉と名付けられている。ワイドな窓からは、煌めく水面や生い茂る緑が爽やかな景色を見せてくれる。

 

さりげなく添えられる地産食材を味わう。


ここは、静岡県内に和食店やベーカリーカフェなどさまざまな飲食店を展開する「なすびグループ」によるお店。グループ全体のこだわりは、素材を丁寧に選び、地場ならではのおいしさを提供することだそう。それが染み付いているからか、名物・ブラックカレーのこだわりを店長に聞くと「特に大したことはないんですよ」と謙遜していたが、お米は静岡県産「にこまる」を使っていると教えてくれた。もちもちとして粘りが強く、あっさりとした味わいがカレーを引き立てている。
やわらか牛スジのブラックカレー1,600円は、サラダ、コーンポタージュ付き(ドリンクセットは+200円)。
やわらか牛スジのブラックカレー1,600円は、サラダ、コーンポタージュ付き(ドリンクセットは+200円)。
ブラックカレーは、大人好みのスパイシーなマサラカレーに黒胡麻ペーストが混ぜ込まれ、香ばしくてコクのある味わい。牛すじ肉はスプーンで切れるほど柔らかく煮込まれていて甘みがあり、色とりどりの野菜がトッピングされているのもうれしい。カレーはブラックの他に、ガパオ風のレッド、魚介を使ったホワイトと、3種のバリエーションがあり、色でも楽しめるのが面白いところ。
魚介と海苔の和風ペスカトーレはスープ、サラダ、パンがついて1,730円。
魚介と海苔の和風ペスカトーレはスープ、サラダ、パンがついて1,730円。
もう一つのお店のおすすめメニューが和風ペスカトーレ。イカやエビなどの具材のほかに、パスタに絡む地海苔が使われている。魚介の旨味がしっかりとついたベースには、もちもちとして小麦が香る生麺のリングイネがピッタリ。魚介の豊富な静岡らしいアイデアだ。

セットにつくサラダは、スーパーフードとして知られるキヌア入り。さらに、ドリンクセットで選べる飲み物には内臓脂肪の減少や血圧低下、疲労回復などの効果も期待できるザクロ黒酢がラインナップされていて、美と健康に気遣う人にうれしいポイントも発見。この細やかなこだわりに、心を掴まれてしまう。          

静岡の和紅茶をおともに、スイーツをいただく。


スイーツは、系列のベーカリーカフェ〈Bakery&Cafe GALLEY〉が手がけるものも。しっとりもちもちの特製パン「熟成ゆだねブレッド24」を使ったフレンチトーストのほかに、注目なのは自家製チーズケーキ。グラハムクラッカーと発酵バターで作る風味豊かな土台、酸味のあるチーズ、ベリーのソースがキュンとする味わい。
自家製チーズケーキ580円。〈Bakery&Cafe GALLEY〉では瓶入りで提供され、人気があるのだそう。
自家製チーズケーキ580円。〈Bakery&Cafe GALLEY〉では瓶入りで提供され、人気があるのだそう。
一緒に頼みたいのが、静岡市清水区のお茶どころ両河内で作られる和紅茶だ。旨味が強くビターな後味が、スイーツによく合う。みかんジュースやトマトジュース、ソーダなどのビバレッジにもさりげなく静岡県産のものがそろえられ、こだわりのある人も満足できそうだ。
ドリンクセット(+200円)は、和紅茶のほかにコーヒー、ザクロ黒酢、オレンジジュース、グレープフルーツジュースが選べる。
ドリンクセット(+200円)は、和紅茶のほかにコーヒー、ザクロ黒酢、オレンジジュース、グレープフルーツジュースが選べる。

「考える人」探しで童心に帰る。

静岡県立美術館は、ロダンの作品がコレクションの柱の一つ。代表作の「考える人」「地獄の門」「カレーの市民」など32点のロダン作品が並べられた〈ロダン館〉は圧巻だ。
レストラン店内の装飾やロゴにもオーギュスト・ロダンの「考える人」が散りばめられている。あちこちを探しながら料理を待つのもいい。ミニチュアのレプリカを手にとってみたり、マグカップやコースターにそのシルエットを見つけてみたり。力強い彫刻も、なんだかかわいらしく見えてくる。

 

カジュアルだけど、大人の落ち着き。

広々とした店内には、外の景色を楽しめる席の他に、レンガ調で落ち着いた雰囲気のシートも。
広々とした店内には、外の景色を楽しめる席の他に、レンガ調で落ち着いた雰囲気のシートも。
厳かな雰囲気の美術館の端にあるレストラン〈Rodin TERRACE〉。広々と明るい店内はどこか落ち着いていて、カジュアルなランチやティータイムも、しっとりと穏やかに過ごせそう。



Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto



いつもと違う静岡県観光には、静岡市の〈Rodin TERRACE〉がおすすめ。
 

Rodin TERRACE


所在地静岡県静岡市駿河区谷田53-2
アクセス草薙駅からタクシーで5分ほど
電話番号054-267-7888
URLhttps://www.nasubi-ltd.co.jp/rodin/index.php
営業時間11:00〜15:00(14:30LO)
休業日不定休(美術館の企画展に準ずる)

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。