季節ごとに100種以上のドライフラワーがお出迎え。


静岡県を代表する景勝地・日本平。富士山や駿河湾などが眺められる見晴らしのよさを生かし、展望施設の日本平夢テラスや静岡市立日本平動物園など多くの観光名所があるエリアだ。今回訪れるのは、そんな日本平の一画にあるドライフラワー専門店〈ドライフラワーギャラリー ダーワ〉。JR静岡駅から車を走らせること25分、日本平さくら通りの途中に、小高い場所に建てられた一軒家があった。自然いっぱいの美しい風景は、まるで絵本の世界のよう。今日はこちらでドライフラワーのリースづくりに挑戦する。
お店に入った瞬間、ドライフラワーの豊富さに思わず感嘆の声が出た。足元から壁、天井までドライフラワーであふれていて、まさに圧巻の光景。深呼吸するとドライフラワーの豊かな香りで胸がいっぱいになり、自然と穏やかな気持ちになる。
オーナーの和田康宏さんによると、ドライフラワーの種類は100種類を超えるという。季節ごとに少しずつ花を入れ替えているので、訪れるたびに新しい出会いがあるのも魅力だ。

 

試行錯誤の連続に、ドライフラワーづくりの楽しさがある。


もともとアパレル関係の仕事をしていたという和田さん。ドライフラワーとの出会いは、山で立ち枯れたアジサイを目にしたことからだった。アジサイは枝に花をつけたまま自然に枯れることがある。植物本来の美しさと、その味わいのある姿に一瞬で虜になったという。
店舗の裏に咲くアジサイ。美しいドライフラワーになるよう、アジサイの種類を選定し、日の当たり具合を計算して植えている。
店舗の裏に咲くアジサイ。美しいドライフラワーになるよう、アジサイの種類を選定し、日の当たり具合を計算して植えている。
「都市部で生まれ育ったからか、自然に対する憧れがあったのかもしれない」と和田さん。自身の店を開こうと決意し、現在の一軒家でお店をスタートしたのが1989年のこと。ドライフラワーはすべて生花の状態で仕入れて、和田さんがいちから手づくりしている。

湿度管理が大切なので、エアコンと除湿器はいつもフル稼働。それでもうまく仕上がらなかったり、思い通りの状態にならなかったりなど、試行錯誤の連続だという。毎年新しい発見があり、常に好奇心を刺激してくれるところがドライフラワーのおもしろさでもある。
着色や脱色加工などの手法もある中、薬品を使わないドライフラワーづくりにもこだわり続けてきた。自然の美しさを大切にするのが和田さんのモットー。店の近くには畑があり、自分で育てた植物をドライフラワーにすることも。さらに長野県の契約農家さんが育てる上質な植物もドライフラワーの材料になっている。気になる植物があれば種を渡して育ててもらうこともあるそうで、世間一般でほとんど流通しないドライフラワーが見られるのも、〈ドライフラワーギャラリー ダーワ〉ならでは。
7〜8年でやめるつもりだったと話すこちらのお店も、気がつけば38年目。ドライフラワーづくりも畑も、和田さんの探究心は尽きない。自然の美しさが引き出されたドライフラワーはどれも美しく、それぞれの存在感が光る。

 

県外から訪れる人も。リピーター多数のドライフラワー教室。


〈ドライフラワーギャラリー ダーワ〉では、完全予約制のドライフラワー教室を毎日(木曜は定休日)開催している。オープン5年目からはじめ、最初は口コミで広がったこの教室、ここ最近ではSNSをきっかけに来店する人が増えたそう。関東や遠いところでは岡山県など、県外から多くの人が訪れるほどの人気教室になっている。
和田さん作のリースやスワッグ。
和田さん作のリースやスワッグ。
初心者向けの教室のほか作家を育てるコースがあり、2〜3時間でリースやスワッグ、トピアリーなどがつくれる。今回は初心者におすすめのリースづくりを体験させてもらった。
土台となるのは、専用のリースベース。ここにグルーを使って、ドライフラワーを差し込んだり、貼ったりしながらつくりあげていく。初心者には、最初に葉を飾りつけたあと、好みのカラーや使いたいドライフラワーを選びながら、空いたスペースを埋めていく方法がおすすめ。はじめに使う花材は、丸みのあるフォルムがかわいらしいユーカリの葉。上部だけでなく、内側や外側などにも差し込み、リース全体に配置していく。上には大きめの葉、側面には小さめの葉を使うと、バランスよく仕上がるそう。あとから別の花材が入るので、葉と葉の間を絶妙にあけながら配置していくのが大切。等間隔に並べるのではなく、あえてバラバラに配置したり、向きを変えたりすることで、動きのある仕上がりになる。
次に紅花やバラなどの花材を、葉と葉の間を埋めるようにつけていく。花材を入れる場所と、入れない場所をはっきりさせ、メリハリをつけるのが大事だ。2〜3本まとめて配置するときは、微妙に高さや向きを変えてさらに動きをつける。

ユーカリの葉に合わせて、高さを揃えるのもポイントのひとつ。きれいなドーナツ形になるように意識してつくると、ぐっとこなれた印象の仕上がりになる。ときおり和田さんからアドバイスをもらいながら慎重に作業していく。
オレンジのカラーに合わせて、タンジーやラグラス、ナズナなどを、隙間を埋めるように配置していく。目立たせたい花材をあえて少量だけ配置する方法も美しく仕上げるコツ。ピンセットを使うと、細かい場所にも差し込みやすい。さまざまなテクニックを教えてもらいながら作業していくうちに、徐々に形になってきた。最後にカスミソウをいっぱい詰めこんだら完成!
ドライフラワー教室はスタッフ2名で挑戦したが、まったく違うイメージに仕上がっているのがおもしろい。「やっぱり作品にはその人らしさが出ますよね」と和田さん。世界にひとつだけの自分の作品ができあがった。

花材を贅沢に使ってモノづくりの楽しさを味わえる。


今回のリースづくりで使ったドライフラワーはなんと8~9種類ほど。こんなに多くの花材がたっぷり使えるなんて、なんて贅沢なんだろう。費用は講習費2,000円に、花材代で2,000円前後とリーズナブル。お店をオープンしてから38年、ドライフラワーの価格はほとんど変えていないという。「ドライフラワーを趣味として続ける人が増えてほしい」という和田さんの想いが込められている。
〈ドライフラワーギャラリー ダーワ〉では、ブーケやブートニアなどのウェディングアイテム、タペストリーアレンジなどさまざまな作品に挑戦できる。多くのドライフラワーが揃うこちらのお店なら、自分らしさがあふれる思い出の品がつくれるに違いない。



Text:Ayumi Otaki
Photo:Hako Hosokawa




いつもと違う静岡県観光には、静岡市の〈ドライフラワーギャラリー ダーワ〉がおすすめ。

ドライフラワーギャラリー ダーワ


所在地静岡県静岡市清水区村松 4069-131
アクセスJR静岡駅から車で約25分
電話番号054-334-2908
URLhttps://www.instagram.com/dryflowergallery_daaw/
営業時間11:00~日没
休業日木曜

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。