京都北部、海での暮らしに触れる旅。
天照大神ゆかりの地、元伊勢三社へ
京都観光といえば、碁盤の目に広がる京都市内を想像しがちだが、南北に長く広がる京都府には、実は海側のエリアをめぐる楽しみ方もある。なんといっても丹後半島を中心とする日本海に面したエリアは「海の京都」とも呼ばれるほどで、一度は訪れておきたいスポットで溢れている。
言い伝えによると、三重県にある伊勢神宮は現在の場所に落ち着くまでのあいだに、いくつかの候補地に鎮座したそうだ。元伊勢三社はその候補地のひとつだったと伝わる場所。伊勢神宮と同様に外宮(元伊勢外宮豊受大神社)から内宮(元伊勢内宮皇大神社)、そして天岩戸神社の順に巡ることにした。
元伊勢外宮豊受大神社
元伊勢内宮皇大神社の本殿と龍灯の杉
天岩戸神社の社殿(右)と御座石(左)
京都から日本海を一望、天橋立、伊根の舟屋
いよいよ海へと近づき、日本三景の一つ、〈天橋立〉へ。天橋立を南側から望む「天橋立ビューランド」は、「股のぞき」で有名な場所。この場所に立って逆さから見る天橋立は天に舞う龍のように見えることから、「飛龍観」と呼ばれている。
舟屋は、1階は舟のガレージ、2階は居間や客間とする伊根の伝統的建造物。江戸時代中期にはすでに存在していたという。木の舟は天日にさらすと割れ、海につけておけば腐る。そこで、舟を日陰の陸に揚げておけるように家の1階が船着場と作業場になったのが、舟屋の始まりだ。保存されたり、展示しているのではなく、これらの舟屋では今も現地の人が暮らしていて、日常生活を営んでいる。だからこそ、この景色を眺めていると「いろんな暮らしがあるんだなぁ」と心に沁み入るものがある。
今では多くの船がFRP(繊維強化プラスチック)製となり、また大型化したため、船を陸へ引き上げずに舟屋の前に留めているところも増えている。船を収納することがなくなった舟屋は、空いた一階を魚を料理する際に使ったり、あるいは洗濯物を干したりと暮らしの場として活用されることも。また、多くの住民は舟屋ではなく道路を1本挟んだ向かいに建つ母屋で暮らしている。
伊根町の漁港
若鶏と京地どりを堪能する焼き鳥店〈tensen〉
伊根の舟屋の景色を堪能した後は、車で40分ほど移動し京丹後市へ。夕食で訪れたのは、焼き鳥店〈tensen(テンセン)〉。
「設計には、兄で1級建築士の大垣優太にも協力してもらいました。オープンキッチンにしたのも、お客さんとのコミュニケーションを大切にしたいという思いがあったからでした」
と、大垣さん。さらには使用する器も、地元の作家である大江志織さんらの作品が揃う。この店では、若鶏と京地どりの両方を焼き鳥にする。若鶏は近畿北部で40〜45日程育てられ、峰山町で解体された新鮮な若鶏。飼育環境がいいため臭みもなく、身が柔らかくとてもジューシーなのだ。
一方、京地どりはシャモと黄斑プリマスロックを掛け合わせた鶏。鶏を1羽まるごと仕入れ、余計な水分を飛ばすため店で乾燥・熟成をかけてから解体し、串を打つ。しっかりとした歯応えがあり、味も濃く、噛むたびに美味しさが口の中に広がるのが特徴だ。
これまでの経験を生かして、焼き鳥には醤油だれのみならず、ドライトマトなどを使ったオリジナルのソースを添えることもある。メニューをよく見ると「せせり」などの部位とともに「大根」「富士酢」とソースの内容も添えてあり、なんと串の一本一本に異なるソースが用意されているのだ。これが、一見すると意外な組み合わせなのだが、食べてみると驚くほど相性がいい。海沿いの街をめぐるという京都の思いがけない楽しみ方を知り、焼き鳥の意外な味わい方を堪能して1日を締めくくる。そんな、新鮮な気持ちになれる旅だった。
Text:Ayano Yoshida
Photo:Yuki Arimitsu
いつもと違う京都府観光には、〈元伊勢三社〉〈天橋立〉〈伊根浦公園〉〈tensen〉がおすすめ。
元伊勢三社(元伊勢外宮豊受大神社)
所在地 | 京都府福知山市大江町天田内60 |
アクセス | 福知山市営バス「外宮」から徒歩約5分 京都丹後鉄道「大江高校前駅」から徒歩約15分 |
電話番号 | 0773-56-1560 |
URL | https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/soshiki/65/1115.html |
@motoise_geku |
天橋立(天橋立ビューランド)
所在地 | 京都府宮津市文珠437(天橋立ビューランド) |
アクセス | 京都丹後鉄道「天橋立駅」から徒歩約7分 |
電話番号 | 0772-22-1000(代表) |
URL | https://www.amanohashidate.jp/spot/viewland/ |
営業時間 | HPをご確認ください。 |
休業日 | 年中無休 |
伊根浦公園
所在地 | 京都府与謝郡伊根町平田494 |
電話番号 | 0772-32-0277 |
URL | https://www.ine-kankou.jp/ |
tensen
所在地 | 京都府京丹後市大宮町善王寺1162-2 |
アクセス | 京都丹後鉄道「京丹後大宮駅」から徒歩約26分 |
電話番号 | 0772-60-4100 |
@tensen.__ | |
営業日時 | Instagramをご確認ください。 |
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