京都駅チカのお寺に、絶景と癒しのニュースポットが誕生。
青もみじと苔が潤いにあふれる頃。桜や紅葉の時季に比べ人出も少なく、京都本来の良さ、風情に浸るなら今の季節がおすすめだ。今年(2025)の4月下旬、京都駅からも近い泉涌寺山内の今熊野観音寺に、絶景を眺めながら、癒しも感じられるという茶所〈閑坐〉が誕生した。今後ますます注目を集めそうなニュースポットを、実際に訪ねてみた。
青もみじが美しい鳥居橋
バス停からの道は、車も行き交い生活感の漂う住宅街であったが、境内は郊外の山寺にでも訪れたかのような静けさに包まれている。京都駅からもさほど遠い場所でないということが驚きだ。本堂でお参りを済ませ、「その場所」へ向かうことにした。
本尊を祀る本堂
菓子の内容は日替わりで、創業200年を超える老舗「亀末廣」の菓子か、寺内で手作りされるものが出されるという。こちらは訪れるたびの楽しみ、といったところだろうか。
「『閑坐聴松風(かんざしてしょうふうをきく)』という禅語があります。字のごとく、ここで静かに座って、木々の葉が風に揺れる音、鳥のさえずりを聞いてもらいたい。自分と向き合ったり、自然に癒されたり、リラックスしたひと時を過ごしてもらいたいという思いを、この名前に込めました」と、副住職は言う。
室内に設けられた席はたったの4つ。「美しい京都の風景を、心静かに満喫したい…」という、京都好きなら一度は憧れる理想のひと時を、この場所は叶えてくれそうだ。
テラスの一角に目を移すと、「水面鏡(すいめんきょう)」と名付けられた水盤に映る緑も美しい。ふと、「水面に赤いモミジの葉が舞い散る頃も良さそうだ」、という思いが沸き起こった。訪れるたびに、きっと新たな印象を抱くに違いない。季節だけでなく時間帯や天候を変えて、改めてこの“特等席”を訪ねてみたい。現在、閑坐の利用には事前予約の必要も、利用時間の制限もないという。しかし今後、注目を浴びることは想像に難くなく、それらのルールも変更される可能性があるそう。まずは今のうちに、由緒ある古刹に誕生した癒しの絶景スポットを訪れてみてはいかがだろうか。
今熊野観音寺から歩いて巡ることのできる、青もみじの名所をご紹介
泉涌寺/泉涌寺 雲龍院
泉涌寺は「皇室の菩提寺」として知られる、非常に由緒のある寺院だ。一見したところ境内には常緑樹が多いが、かつて京都御所にあった御殿を移した御座所内の庭園は青もみじと苔が美しい。堀の向こう側に、数々の天皇を埋葬する陵墓があるためか、お庭にも清浄で静謐な空気が流れているように感じる。御座所庭園
その楽しみ方というのが、「窓や障子越しに眺める」というもの。四枚の雪見障子からなる「色紙の窓」は、左から椿・灯篭・青もみじ・松がその姿を覗かせる。青もみじ・苔・サツキの刈込みによる一面の緑が広がる「大輪の間」や、丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」が並ぶ「悟りの間」など、ひと部屋ごとに味わい深い光景が広がっている。
色紙の窓
東福寺/東福寺 光明院
雲龍院から裏道を15分ほど歩けば、京都屈指の紅葉名所にたどり着くことができる。泉涌寺の“おとなり”とでもいうべき立地の東福寺だ。
境内にある渓谷にはモミジが約2,000本植えられ、臥雲橋から望む通天橋は“定番風景”といえるだろう。通天橋では、橋の上からモミジの大海原を眺めるのも良いが、緑の海底に沈んだかのように、庭の中に身を置いて仰ぎ見るのもおすすめだ。
臥雲橋から望む通天橋
本坊庭園(北庭)
境内の中央を占める波心庭は、東福寺本坊庭園と同様、重森三玲の作庭によるもの。多く配された巨石に目を取られるが、緩やかな傾斜と曲線で描かれた苔と、丸みを帯びたサツキとツツジの刈込みから感じられるのは優しい印象。禅寺の庭というと少し気難しい印象もあるが、涼し気に揺れる青もみじとも相まって、心安らかに眺めることができるお庭だ。
閑坐
所在地 | 京都市東山区泉涌寺山内町32(Google Map) |
アクセス | 市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩約12分 |
電話番号 | 090-4011-8170 |
URL | https://www.kannon.jp/chajyo-kanza(今熊野観音寺HP内) |
拝観時間 | 10:00〜16:00(最終受付15:45) |
拝観料 | 2,000円 ※秋の紅葉シーズンは3,000円 |
定休日 | 不定休 |
今熊野観音寺
所在地 | 京都市東山区泉涌寺山内町32(Google Map) |
アクセス | 市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩約12分 |
電話番号 | 075-561-5511 |
URL | https://www.kannon.jp/ |
拝観時間 | 8:00〜17:00 |
拝観料 | 無料(境内自由) |
泉涌寺
所在地 | 京都市東山区泉涌寺山内町27(Google Map) |
アクセス | 市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩約12分 |
電話番号 | 075-561-1551 |
URL | https://mitera.org/ |
拝観時間 | 9:00〜17:00(16:30受付終了) ※12〜2月は〜16:30(16:00受付終了) |
拝観料 | 500円、御座所500円 |
泉涌寺 雲龍院
所在地 | 京都市東山区泉涌寺山内町36(Google Map) |
アクセス | 市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩約15分 |
電話番号 | 075-541-3916 |
URL | https://www.unryuin.jp/ |
拝観時間 | 9:00〜17:00(16:30受付終了) |
拝観休止日 | 毎週水曜 ※11月を除く |
拝観料 | 400円 |
東福寺
所在地 | 京都市東山区本町15-778(Google Map) |
アクセス | JR奈良線 東福寺駅から徒歩約10分 |
電話番号 | 075-561-0087 |
URL | https://tofukuji.jp/ |
拝観時間 | 9:00〜16:30(16:00受付終了) ※11月〜12月初旬は8:30〜、12月初旬〜3月は16:00まで(15:30受付終了) |
拝観料 | 通天橋 600円(11月中旬〜 1,000円) 方丈 500円 通天橋・方丈共通券 1,000円(11月中旬〜12月上旬を除く) |
東福寺 光明院
所在地 | 京都市東山区本町15-809(Google Map) |
アクセス | JR奈良線 東福寺駅から徒歩約15分 |
電話番号 | 075-561-7317 |
URL | https://komyoin.jp/ |
拝観時間 | 7:00頃〜日没 |
拝観料 | 500円 |
Text & Photo:Kazuaki Toda
いつもと違う京都府観光には、今熊野観音寺の〈閑坐〉がおすすめ。
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