“特別拝観プラン”で京都旅をアップデート


古都京都への桜旅に、憧れを抱く人はきっと多いはず。しかし、春は紅葉に染まる秋とともに大人気の観光シーズン。名所となれば、平日、休日を問わず大勢の観光客で賑わい、なかなかじっくりと桜を楽しむことができないかもしれない。

そこでご紹介したいのが、春や秋を中心にJR東海が主催する“特別拝観プラン”。人数限定で開催されるため、有名スポットであっても混雑を避けて春を満喫できるのが大きな魅力だ。東寺での春の特別拝観プランの模様をお届けしよう。
ソメイヨシノや河津桜などが約200本、そして高さ13メートルにも及び、樹齢は120年を超えるという「不二桜」が見事に咲き誇る東寺。風に優しくたなびく桜越しに、威風堂々と五重塔がそびえる光景からは、「思い描いた通りの春の京都」という風情が漂っている。見頃の時季には、日中、そして期間限定で開催されるライトアップともに多くの拝観者で賑わうことは言うまでもない。
スマホで特別拝観プランを購入したのは参加当日の午後のこと。当日の受付終了時間までなら購入でき、ちょっとした“思い付き”から参加ができるのも、混雑などにより予定変更が付きものな京都旅にとって心強い。

一般拝観が17時に終了してから数分後、特別拝観プランが開始となった。予約時に受取ったメールを見て集合場所に行き、スマホでの受付を済ませ境内に入ると、静けさに包まれた桜風景が広がっていた。これからのひとときに、期待が大きく膨らむ瞬間だ。
通常の拝観であれば、時として人の波に押し流されるようにもなるが、思いのままにゆっくりと巡れるのが嬉しい。さっきも通った園路から少し外れ、桜に回り込んで五重塔を眺めてみたり、空を見上げてみたり… 空いているからこそ、探求心も自ずと沸いてくる。写真撮影も存分に楽しめるため、カメラ愛好家の参加も多いそうだ。特別拝観プランでは、お庭だけでなく、東寺が誇る数々の国宝・重要文化財の仏像を祀る金堂や講堂といったお堂の内部も拝観可能だ。

運営スタッフによれば、心静かに仏像と向き合えたことに満足して帰る方も多いのだとか。堂内に佇むと、不思議なことに仏様の視線や気配のようなものさえ感じられたのも、静けさに包まれる少人数での開催だからかもしれない。特別拝観プランが開催されるのは、空の表情が移り変わる頃。一般向けの夜間拝観が始まる18時までの間の約50分間に開催される。空はほのかに赤みを帯び、日中とはまた異なる優しい美しさを覗かせていた。

穏やかな空の下、お庭を何周もしたり、孤高の不二桜をただただ眺めたりと、思い思いの時間を過ごすことができるのは、春の京都にあって、なんと贅沢なひとときだろう。18時になると特別拝観プランは終了となり、一般向けのライトアップが開始となる。ここからは、一般拝観者の入場が始まるものの、特別拝観プランの参加者はそのまま境内に滞在し、引き続きライトアップを楽しむことも可能だ。

実は桜が見頃を迎える時季のライトアップは、開門待ちの行列が300メートルに及ぶこともあるのだとか。その列に並ばずして夜桜鑑賞ができるのも、大きなメリットの1つと言えそうだ。東寺から京都駅までは歩いて15分程。「旅の締め」に東寺での特別拝観プランに参加してみてはいかがだろうか。

豊富なラインアップも“特別拝観プラン”の魅力


この春、JR東海では、東寺を含め8つの社寺で計10の特別拝観プランを開催予定。なかには、この特別拝観プランでしか見ることができない桜風景をお楽しみいただけるものも。今年の春の京都旅は、“スペシャルなお花見”を加えてみたい。



Text & Photo:Kazuaki Toda


 

いつもと違う京都府観光には〈春の特別拝観〉がおすすめ。
 


東寺


所在地京都府京都市南区九条町1(Google Map
アクセスJR京都駅から徒歩約15分
近鉄京都線 東寺駅から徒歩約10分
電話番号075-691-3325
URLhttps://toji.or.jp/
拝観時間金堂・講堂 8:00〜17:00(16:30受付終了)
観智院 9:00〜17:00(16:30受付終了)
宝物館(会期中のみ) 9:00〜17:00(16:30受付終了)
拝観料御影堂、食堂などの拝観は無料
金堂・講堂、観智院、宝物館は時期により変動あり
詳しくはホームページをご確認ください

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