本も雑貨も、お酒も!何度でも通いたくなる居心地のよいお店
でも今は、ありのままの自分でいたことがよかったのかなと思っています。それもあってか、左京区以外の方も入りやすいお店になりました。ここ修学院あたりには、この地域を体現するようなシンボリックなお店がなかったのもよかったかもしれませんね」
建物は地元の設計事務所とともに、いちから作り上げた。木を基調とした店内の洗練されたクールさと、清野さんの明るい人柄に程よいギャップがあって、何度も通いたくなるお店になっている。実際にリピーターは多く、地域の人だけでなく、週末になると県外の人も訪れるそう。
店主の人柄が魅力。本好き、お酒好きの人が楽しく交流できる場に
〈バヒュッテ〉では、店内のカウンター席と屋外席で、お酒とちょっとしたおつまみスナックが楽しめる。じつは、当初は立呑みができるお店ではなく、コーヒースタンドになる予定だったという。「夫がお店の運営を行うはずだったんですけど、開店の半年前に急に『君がやったほうがいいと思う』と言い出したんです。私が前の会社で本と雑貨のお店を立ち上げた過程を夫も見ていたので、運営に向いていると思ったのかもしれませんね。立吞みできるお店にしたのは、私がお酒好きだからです。お客さんのリクエストも聞きながら、お酒の種類はかなり増えました」
お酒のほか、雑貨も前職の経験を活かし、清野さんが仕入れを行っている。お店が紹介されている雑誌・書籍以外はすべて古本で、いずれもお二人が実際に読んだ本ばかりだ。店主の人となりを伝える名刺代わりにもなっている。
「まずタイトルに惹かれましたし、近所の旅館に泊まるという発想がユニーク!本のなかで紹介されているお店も面白みのあるところばかりで、でも渋いお店を狙って選んでいるわけではない感じがいいんです。本当にお酒が好きな方なんだろうなと思います。
私もスズキナオさんの別の著書で紹介されていたお店に実際行ったことがあるんです。どれも肩肘張らずに行けるようなお店だったので、彼の選定基準を完全に信用しています。文章も気取ってなくて読みやすく、近所のおもしろいお兄ちゃんが書いているような近さが好きです。本のサイズ感も程よく、旅に持って行くのにもぴったりだと思います」じつは清野さん自身も大の旅好き。自分でお店を始めてからは時間が作れるようになり、月2回ほど日本各地、海外へ旅しているそう。
「会社勤めのときよりも自由に旅行ができるようになりましたね。今、とても人生が充実しています! 前は『仕事ってしんどいもの』って思っていたんですけど、今はすごく楽しいですね。次の日の仕事を思って憂鬱になる『サザエさん症候群』もなくなりました」と清野さん。
清野さんが毎日楽しく過ごしているからこそポジティブな空気が伝染し、〈バヒュッテ〉はより居心地がよい空間になっているのかもしれない。最近では、将来お店を始めたい若者に場所を提供して、飲食イベントなどを行う機会も増えたという。「店名の『ヒュッテ』はドイツ語で『小屋』という意味。見た目がガラス張りで繊細なイメージのお店なので、強い濁点をつけてはじめは『バヒュッテ 』にするつもりだったんです。でも『バウハウス』の語源が『バウヒュッテ』なので、『バウハウスが好きなんですか?』と聞かれるのも、説明するのも面倒だなぁと思って(笑)。それで結局、店名について聞かれたときは、『みなさんが集まる“場”になったらいいな』という意味を込めていると答えるようになりました」
後付けの理由だが、名前の通り〈バヒュッテ〉は多くの人が集まり、楽しく交流できる場になりつつある。明るく楽しい清野さんに会えば、訪れる人々も明日への活力をチャージできるに違いない。
Text:Ayumi Otaki
Photo:Shinya Tsukioka
いつもと違う京都府観光には、京都市左京区の〈バヒュッテ〉がおすすめ。
バヒュッテ
所在地 | 京都市左京区山端壱町田町38番地 |
アクセス | 叡山電鉄「修学院」駅から徒歩約3分 |
URL | https://bahutte.com/ |
@ba_hutte | |
営業時間 | 8月以外 14:00〜20:00 サマータイム(8月) 15:00〜21:00 |
休業日 | 火曜、水曜(不定休あり) |
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