京都の伏見といえば、日本三大酒どころのひとつ。酒造りに欠かせない豊富な伏流水に恵まれた地域で、20もの酒蔵が集まっているそうです。全国的にも有名なメーカーの酒蔵も多い中、今回は「小さな酒蔵」を訪ねてみました。
京都駅から向かったのは近鉄桃山御陵前駅、京阪伏見桃山駅から程近い「藤岡酒造」さん。伏見で最も小さい酒蔵だそうです。こちらの魅力はなんといっても併設されている利き酒処があること(嬉)。のどかで風情のある街並みをぶらりと歩きます。
すると酒蔵のシンボルである杉玉が見えてきました!脇に携える赤レンガの建物がなんとも可愛らしいです。「藤岡酒造」の創業は明治35年。3代目の急逝により一旦は蔵を閉じたそうですが、「なんとかもう一度お酒を造りたい…」と各地で修行した、現在の5代目蔵元・藤岡正章さんが自らが杜氏となって復活させたそうです。
 
建物の中に入るとなんともいえない甘い香り。物販スペースと利き酒スペースはオープンになっていて、光の具合もとても気持ちのよい空間です。物販スペースに並んだ瓶を横目に、何はともあれお酒を口にしなくては…と小上がりを登ります。
小上がりになった利き酒処(酒蔵Bar えん)
小上がりになった利き酒処(酒蔵Bar えん)
藤岡酒造で扱う銘柄は「蒼空(そうくう)」一つのみ。生産量が少ないので購入できる場所は限られているそうです。ただ、銘柄は一つでも種類は豊富!となると、選ぶのは「のみくらべセット(注:平日限定)」になりますよね。
お店の方にアドバイスしていただき、すっきりした味わいのものから順に飲みました。見た目も違いますが、香りも味もだいぶ違います。飲んでいくうちに、どのお酒がどれだっけ…?となりそうですが、大丈夫。お猪口の下のお皿の模様がメニューにも描いてあるので安心です。そして可愛い…。

途中から“あて”に「山うに豆腐(絶品!)」をいただきながら、さてどれを買って帰ろうかなと……この迷う時間が至福ですね。はい、決まりました!〈「蒼空」特別純米生原酒・雄町〉です!生原酒ということもあり、3つの中で一番お米の味がしっかりしているような気がしました。なのに、後味はすっきりした感じ。いやー今から晩酌が楽しみです。「蒼空」と「山うに豆腐」の無限天国で、ずーっと居座りたくなってしまいますが、もう一箇所寄りたいと持っていた酒蔵があるので、心を鬼にして(?)藤岡酒造さんを後にします。
もちろんお土産もゲット!
もちろんお土産もゲット!
途中、宇治川に注ぐ運河の濠川を渡ってしばし歩きます。目指すのは招徳酒造さん。1645年(正保二年)に洛中で創業し、大正中期から伏見で営んでいるそうです。米と米麹だけで作られる純米酒にこだわった酒蔵です。
こちらは基本的に試飲などは行っていません(蔵開きのときなどには行っているそうです。ぜひ行ってみたい!)。

販売スペースで散々迷った挙句、「招徳 特別純米 無濾過生原酒 旭四号」を購入。こちらも生原酒で、お米の味をしっかり味わいたいと思いつつ、お店の方に「なおかつキレがよい!」とお聞きし、決め手となりました。

さて、帰りの時間が近づきました。今回伏見で訪れたのは二つの酒蔵のみですが、他にも魅力的な酒蔵はまだまだありますし、17種類もの飲み比べができるという「伏水酒蔵小路」などもあります。少しづつ、何度も通って、伏見酒蔵コンプリートを目指すのも楽しそう。また参ります!!

その他伏見の酒蔵やお酒の楽しみ方などはこちらから



Text & Photo:tabigatari editorial department


いつもと違う京都府観光には、〈伏見の小さな酒蔵〉がおすすめ。

藤岡酒造


所在地京都府京都市伏見区今町672-1(Google Map
アクセス京阪:伏見桃山駅または丹波橋駅から徒歩約5分
近鉄:桃山御陵前駅または近鉄丹波橋駅から徒歩約6分
電話番号075-611-4666
URLhttps://www.sookuu.net/
営業時間11:30~18:00
休業日水曜

 

招徳酒造


所在地京都府京都市伏見区舞台町16(Google Map
アクセス近鉄 伏見駅から徒歩約14分
電話番号075-611-0296
URLhttps://www.shoutoku.co.jp
営業時間8:30~12:00・13:00~16:30
休業日土曜・日曜・祝日(11~2月は土曜日営業)

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