京都旅の新たなカタチ“特別拝観プラン”が見逃せない。


「特別拝観プラン(以下、特別拝観)」というと、通常は公開されていない寺宝やお庭などが鑑賞できるもの、と思われるかもしれない。しかし、今回紹介するものは少し内容が異なる。春や秋などの観光繁忙期を中心に「旅行会社などが主催する特別拝観」のことだ。その“大きな売り”は、桜や紅葉の人気スポットを人数限定で楽しめるというもの。一般拝観が始まる前に、ひと足早く貸切りの境内に入場できたり、一般向けには開催されていないライトアップに参加できたりと、旅をより魅力的なものにしてくれるプランだ。
※本記事の写真は2023年以前に撮影したものです。
秋の京都で絶大な人気を誇る東寺の紅葉ライトアップ。18時からの開門で一般向けに公開されているが、ピークの時季の週末であれば、17時ごろから開門待ちの列ができ始め、受付を先頭に500mに達することもあるそうだ。旅行会社より送られてきたメールに書かれていた通り、この列には並ばず、近くに設けられた別の受付へ。すこし特別感を感じる瞬間だ。その後、スタッフさんの案内でスマホを利用した受付を終わらせたら、いよいよ境内へ入場となる。
東寺での特別拝観は、17時10分から入場開始。一般向けの夜間拝観よりも約1時間早く入場でき、例えばその日のうちに、新幹線に乗って帰らなければならない場合や、夕食の予定などとも合わせやすいのが嬉しい。そして何といっても、人気のライトアップを人数限定で楽しむことができるのは、混雑の多い秋の京都観光において、何物にも代えがたい贅沢に感じられる。スタッフさんのお話によると「日中は混雑している場所が多かったですが、一日の最後で紅葉を大満喫できました!」という声も多いそう。
こちらは特別拝観開始直後の様子。17時過ぎと言えども日没時間は過ぎており、せっかくの紅葉の彩りを確認することも難しい。しかしこの後、筆舌に尽くしがたい光景が広がることに。
目の前に現れた神々しいばかりの光景。“ライトアップ開始の瞬間”だ。これまで神社やお寺でのライトアップは数多く見てきたが、点灯の瞬間に立ち会ったことはあっただろうか。まばたきすると見逃してしまいそうなほどに一瞬の出来事ではあるが、これから過ごす特別拝観のひと時への期待が膨らむ。通常の夜間拝観であれば見ることができない特別な体験は、忘れられない思い出のひとつになるに違いない。

※天候の状況や安全確保のため、特別拝観の入場開始時間前に点灯される場合もあります。
空に青みが残る“ブルーモーメント”と言われる時間帯は、特に写真愛好家に人気の時間で、「ライトアップは、空が青い時間にしか撮影をしない」とこだわる人もいるほどだ。意識して眺めてみると、なるほど光に照らされた紅葉や常緑樹と青空のコントラストはとても美しく、ついシャッターを切る回数も増えてしまう。“夜の青空”を楽しむことができるのも、通常より約1時間早く入場できる特別拝観に参加したことの恩恵の1つだろう。どうやら特別拝観の魅力は、「空いている」だけではないらしい。
紅葉に賑わうお庭を離れ、国宝や重要文化財の仏像を多数祀る講堂・金堂内部へ。日中でも拝観はできるが、夜の堂内はより荘厳な雰囲気に包まれ、仏様の威厳も更に増しているかのよう。じっくりと眺めれば、緊張感さえ覚えるほどだ。夜であることに加え、ゆったりとした静寂な空間であるからこそ、感じられるものが多いのかもしれない。
講堂
講堂
18時になると、通常の夜間拝観が開始となり、特別拝観の参加者は境内から退場… とならず、引き続き境内に滞在し、東寺の夜を満喫することが可能だ。あるいは、まだ早い時間であるため、気になるライトアップに遠征してみるのもありかもしれない。旅先での限られた時間を有効活用できるのもまた、特別拝観の大きなメリットの一つと言えそうだ。

国内外問わず、多くの旅行客で賑わう秋の京都。名所の紅葉を効率的にゆったりと楽しめるだけでなく、スペシャルな体験をも叶えてくれる「特別拝観プラン」。旅の予定に加えてみてはいかがだろうか。

いくつかある“特別拝観プランのパターン”から主だった2つをご紹介!


まずは、東寺での特別拝観のように、一般拝観の開始時間前にひと足早く入場できるパターン。

今年の秋に開催予定のプランで特に“目玉”と言えそうなのが、東福寺と永観堂での早朝拝観だ。いわずとしれた、京都での紅葉狩りの“大本命”ともいえる両寺院で、見頃の時季は開門待ちの行列は必至。

特別拝観では、一般拝観開始前に先行入場し、人数限定で紅葉を堪能することができる。早朝での実施のため、次の目的地にも比較的早い時間から移動でき、紅葉旅の効率アップにもつながりそうだ。続いては、「特別拝観」でしか見ることが叶わないライトアップに参加できるというもの。

今年開催されるものであれば、東福寺や建仁寺、瑠璃光院などでのライトアップが該当する。その光景を見られるのは特別拝観の参加者のみ。一般の旅行では体験することが叶わない、“特に特別”な京都の秋を満喫するプランと言えるだろう。
瑠璃光院
瑠璃光院
今回紹介したプランも含め、この秋、JR東海では11の特別拝観プランを開催。気になる方は、こちらのページからご確認を。
 



Text & Photo:Kazuaki Toda


 

いつもと違う京都府観光には、〈秋の特別拝観〉がおすすめ。


東寺


所在地京都市南区九条町1(Google Map
アクセスJR京都駅から徒歩約15分
近鉄京都線 東寺駅から徒歩約10分
電話番号075-691-3325
URLhttps://toji.or.jp/
拝観時間金堂・講堂 8:00〜17:00(16:30受付終了)
観智院 9:00〜17:00(16:30受付終了)
宝物館(会期中のみ) 9:00〜17:00(16:30受付終了)
拝観料金堂・講堂 500円
観智院 500円
宝物館 500円
御影堂、食堂などの拝観は無料


東福寺


所在地京都市東山区本町15-778(Google Map
アクセスJR奈良線 東福寺駅から徒歩約10分
電話番号075-561-0087
URLhttps://tofukuji.jp/
拝観時間9:00〜16:30(16:00受付終了)
※11月〜12月初旬は8:30〜、12月初旬〜3月は16:00まで(受付終了15:30)
拝観料通天橋 600円(11月中旬〜12月初旬 1,000円)
方丈 500円
通天橋・方丈共通拝観券 1,000円(11月中旬〜12月初旬を除く)


永観堂(禅林寺)


所在地京都市左京区永観堂町48(Google Map
アクセス市バス「南禅寺・永観堂道」バス停から徒歩約3分
電話番号075-761-0007
URLhttps://www.eikando.or.jp
拝観時間9:00〜17:00(16:00受付終了)
拝観料600円


建仁寺


所在地京都市東山区大和大路通四条下る小松町584(Google Map
アクセス京阪電車 祇園四条駅から徒歩約7分
市バス「東山安井」バス停から徒歩約5分
電話番号075-561-6363
URLhttps://www.kenninji.jp/
拝観時間10:00〜17:00(16:30受付終了)
拝観料800円


瑠璃光院


所在地京都市左京区上高野東山55(Google Map
アクセス叡山電車 八瀬比叡山口駅から徒歩約13分
京都バス「八瀬駅前」バス停から徒歩約10分
電話番号075-781-4001
URLhttps://rurikoin.komyoji.com/
拝観時間10:00〜17:00(16:30受付終了)
※特別拝観期間のみ境内への参拝可能
拝観料大人 2,000円、小人 1,000円(中学生以上学生証提示)

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