のんびり、ちょっと贅沢に。親子で楽しむ静岡の旅。

親子の旅【静岡編】

親子ふたりで旅をするなら、子どもが楽しめて、かつママも息抜きができる場所がいい。今回は静岡の鷹匠エリアへ。目的地は前から行きたかった、子どもの本とおもちゃの専門店〈百町森〉。このエリアにはおしゃれなレストランやカフェが豊富で、ふたりでゆっくりランチができるお店も見つかりそう。行き先を決めたら、さぁ楽しいふたり旅のはじまりはじまり。

〈百町森〉でしか出会えない絵本とおもちゃの数々。


JR静岡駅から北に8分ほど歩いたところに、今回の目的地〈百町森〉はある。ロングセラーの絵本や自然素材のおもちゃなどを豊富に取り扱い、全国屈指の品ぞろえを誇る専門店だ。1979年に創業し、2023年に44周年を迎えたそう。長年静岡で愛され続け、全国のあらゆるところからファンが訪れる人気店でもある。
お店のなかはたくさんの本とおもちゃであふれ返っていて、思わず「わぁ」と感嘆の声が漏れるほど圧巻の光景。子どもの目もキラキラと光っていて、ワクワクとした表情に思わず嬉しくなる。店内は絵本のコーナー、おもちゃのコーナー、遊び場「プレイオン」に大きく分かれている。「プレイオンはドイツの幼稚園を見て、日本にも落ち着いて子どもが遊べる場所が欲しいと思ってつくったんです」と話してくれたのは、代表の柿田友広さん。
代表の柿田友広さん。〈百町森〉の運営のほか、大学や子育て支援などで授業や講演も行う。著者に『絵本とおもちゃでゆっくり子育て』(マイルスタッフ)など。
代表の柿田友広さん。〈百町森〉の運営のほか、大学や子育て支援などで授業や講演も行う。著者に『絵本とおもちゃでゆっくり子育て』(マイルスタッフ)など。
プレイオンには、乳児のおもちゃ、人形やごっこ遊びの道具、積み木、ボードゲームなどあらゆるおもちゃが揃えてある。いずれもヨーロッパ製の木のおもちゃが中心だ。
「特にドイツはおもちゃ発祥の地といわれている場所があるほか、教育学者フリードリヒ・フレーベルが幼児教育を提唱、さらに遊具の必要性を説いたことなどから、子どもの成長につながるおもちゃがたくさん生まれるきっかけとなりました。遊びの中での学びが重要視されるようになり、良質なおもちゃが多く生み出されたんです」子どもの発達を促したり、学びを与えたりするおもちゃを欧米では教育玩具と呼ぶそう。日本独自の知育玩具というIQを伸ばすような呼ばれ方ではなく、楽しく遊びながら感情や想像力、協調性などを育むことができるおもちゃとして「教育」という言葉が使われている。
 
「お客さんから、3歳の男の子が機織り機のおもちゃを使って、お気に入りのクマちゃんの洋服を作ったという話を聞いたこともあります。たった3歳の子とはいえ、発想力や技術力、表現力の豊かさに驚きました。おもちゃは豊かな人格形成を助けてくれるツールでもあると感じています」と柿田さん。

 

子どもに媚びないデザインが魅力の教育玩具。

ネフ社の積み木。ネフ社はスイス発祥のおもちゃメーカーで、積み木をはじめ、先駆的なおもちゃを数多く生み出してきた。2012年に生産拠点がドイツに移転。
ネフ社の積み木。ネフ社はスイス発祥のおもちゃメーカーで、積み木をはじめ、先駆的なおもちゃを数多く生み出してきた。2012年に生産拠点がドイツに移転。
とりわけ積み木はおすすめの玩具のひとつだという。

「フレーベルは、プレイ・ギフトと称した幼児教育に必要な遊具を20種類挙げています。そのうち第3~第6は積み木だったんです。車や電車が好きな子なら積み木を使って町や村を形成しますし、恐竜が好きな子なら積み木でジオラマを作ります。積み木はまさに子どもの想像力を掻き立ててくれるおもちゃなんです。

誕生日やクリスマスなど特別な日に汽車や恐竜のフィギュアなど好きなおもちゃを買ってあげるご家庭は多いと思いますが、そのときに積み木を選ぶ子どもは少ないでしょう。子どもは環境で育っていくもの、積み木などは環境を整えてあげるつもりで、ぜひ大人が揃えてあげて欲しいと思います」
〈百町森〉には積み木だけでも豊富な種類があり、その数の多さに驚く。形も色も、積み上げ方もさまざまで、大人が見ているだけでも楽しい。自分が子どものときにこんなおもちゃに出会いたかったなとふと思う。

「教育玩具は種類が多いだけでなく、デザインが優れている点も特徴です。『子どもだからこの程度で十分だろう』といった子どもに媚びたデザインでないところが魅力。いつか子どもは大人になるとわかった上での形や色使いなどが洗練されたデザインのおもちゃが多いんです」
〈百町森〉にはキャラクターものや、流行りのおもちゃは置いていない。本も同様で、大人が読んでも魅力を感じられるような“深い学び”があるものを選んでいる。だからこそ長年多くの人に愛されるロングセラーの製品が多い。孫の代まで引き継がれるおもちゃや本もあるそうだ。最後に「教育玩具の言葉を定着させたい」と話してくれた柿田さん。4月からオンラインで「教育玩具学校」を開くそう。

「お店を始めてからずっと、子どもにとって遊びが大事だと言い続けています。InstagramYouTubeの配信ライブにも力を入れて、発信を頑張っているところ。素晴らしいおもちゃがたくさんあるので、その魅力をいろいろな形で伝えていきたいですね」

絵本とおもちゃ愛にあふれた〈百森町〉。3世代にわたって通うお客さんもいるほど、多くの方々に愛されている理由がわかった気がした。

〈ロティサリーアンドゥ〉で絶品ハンバーグを頬張る。


〈百町森〉で楽しんだあとは、ゆっくりとランチを楽しむことに。徒歩2~3分ほどの位置にある洋食屋さん〈ロティサリーアンドゥ〉に立ち寄った。
〈ロティサリーアンドゥ〉は、こだわりのハンバーグランチが楽しめるお店。店内はカジュアルながらも、落ち着いた雰囲気でゆっくりくつろげそう。おすすめの「プレミアムランチセット」を頼んで、ふたりでシェアすることにした。ジュウジュウと音を立てて運ばれてきたトマトクリーム煮込みハンバーグは、ナイフでカットすると肉汁がじゅわっとあふれ出てきておいしそう。
「ハンバーグは国産の牛肉と、県内産の麦豚を使っています」と案内してくれたのは、店長の山下裕一さん。ひと口食べると、ジューシーで食べ応えたっぷり。酸味のほどよいトマトソースにチーズがまったりと絡んで、思わず笑顔になる味わいだ。
野菜は近くの農家から直接取り寄せているそう。新鮮な静岡の野菜をたっぷり楽しめるランチは、子どもの健康にもうれしい。
追加でフレンチフライを注文。サイドメニューのフレンチフライ 600円。サクサクとした食感がおいしく、子どもも大満足。
追加でフレンチフライを注文。サイドメニューのフレンチフライ 600円。サクサクとした食感がおいしく、子どもも大満足。
夜は専用のローストマシーンを使ったローストチキンがおすすめとのこと。国産の丸鶏を新鮮な状態で焼き上げたローストチキンはファンも多い。山下さんに聞くと、週1回必ずテイクアウトで購入するお客さんもいるのだとか。

個室もあり、くつろいで過ごせる〈ロティサリーアンドゥ〉。記念日など特別な日に利用するのも良さそうだ。東京や静岡のホテルでソムリエとして活躍されてきた山下さんが、おすすめのワインを紹介してくれるとのこと。今度はぜひ家族みんなで訪れたい。
今回は念願の〈百町森〉に行けて、夢のような時間を過ごせた。何より子どもが楽しむ姿を見れたのが、一番うれしかった。思い切って遠出してよかったとしみじみ思う。ちょっと贅沢なランチで、自分を労わることもできて大満足。また、親子ふたりで出かけて、新しい思い出をつくりたい。



Text: Ayumi Otaki
Photo: Misa Nakagaki





いつもと違う静岡県観光には、〈百町森〉〈ロティサリーアンドゥ〉がおすすめ。

百町森


所在地静岡県静岡市葵区鷹匠1-14-12 ウインドリッヂ1F
アクセスJR「静岡駅」より徒歩8分、静岡鉄道「新静岡駅」より徒歩3分
電話番号054-251-8700
URLhttps://www.hyakuchomori.co.jp/
営業時間10:30〜18:00
休業日月曜、火曜


 

ロティサリーアンドゥ


所在地静岡県静岡市葵区鷹匠1-10-10 シャンピア鷹匠1F A
アクセスJR「静岡駅」より徒歩9分、静岡鉄道「新静岡駅」より徒歩2分
電話番号054-260-6322
URLhttps://undeux-shizuoka.owst.jp/
営業時間11:30~14:30(LO14:30)、18:00~22:30 (LO21:00)
休業日月曜


 
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