大阪市住之江区北加賀屋。梅田駅から地下鉄で20分ほどにある、かつては造船業で栄えた町です。それが今、ウォールアートに溢れたアートの街になっているらしい…。そんな噂を聞きつけて、さっそく向かいました。
この地域のアートをサポートしているのは「千島土地株式会社」と「おおさか創造千島財団」。まずはお話を伺おうと千島土地(株)地域創生・社会貢献事業部の宇野好美さんを訪ねます。
ビルに入ると、すぐにいくつかの気になるアート作品が。応接スペースにも著名なアーティストの作品がそこかしこに飾られていて…うん?棚にはラバー・ダックがたくさん並んでいます。

「あ、それは社長が集めたものですね。実は世界的にも有名な巨大なラバー・ダック(オランダのアーティスト、フロレンティン・ホフマン氏の作品で世界中の水辺に現れる)は、日本では北加賀屋がホームタウンなんですよ。」と宇野さん。

えーっ!始めから衝撃的なお話が。。これはウォールアートの町ってだけじゃなさそうです。そもそもなぜ北加賀屋が、アートとそんなに強い結びつきを持っているのでしょう?
「北加賀屋はかつて造船業で栄えた町ですが、時代の変化とともに空き家や空き地が増えていきました。千島土地は北加賀屋の3分の2の土地を所有していましたので(!)、この地域をどうしようかと頭を悩ませていたんですね。」
1988年には、今や近代化産業遺産でもある「名村造船所大阪工場」が建物付きで返却されるが、ここは防潮堤の内側だからさらに使い道が難しい…。

「ある時、弊社の代表(芝川能一社長)が、京都で劇場のプロデューサーをしている小原啓渡さんと出会い、海外では工場とか造船所をアートイベントのスペースとして再利用しているということを聞いたんですね。その後30年間無償で「NAMURA ART MEETING(30年間の芸術実験プロジェクト)」に貸し出すことにしました。」

さらに、継続的に使えるアートスペースとしても使えるように改修。今や様々なアートイベントが開催されるアートの聖地となっている…とのことです。
応接スペースにはどの壁を見ても、アート作品が飾られています。
応接スペースにはどの壁を見ても、アート作品が飾られています。
「それだけでなく、北加賀屋の空き家や空き地を、様々なアーティストやクリエイターの拠点にしてもらい、芸術や文化が集まる町として再生することを目指した〈KCV(北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ)構想〉も提唱し、本格的にその拠点が増えていっています。」(宇野さん)

なるほど…なぜ北加賀屋の町がアートに溢れているかがわかりました。様々なお話にいろんな想像は膨らむのですが、何はともあれ実際にこの目で見てみようと、今回は特別に宇野さんに北加賀屋を案内してもらいました!
ビルを出ると早速ウォールアートの洗礼!すでにあるものを活かすのが面白い。
ビルを出ると早速ウォールアートの洗礼!すでにあるものを活かすのが面白い。
まず目指したのは「千鳥文化」。元々は船大工さんが住んでいた店舗兼住宅で、おそらく最初は1階建だったとのこと。それを自分たちで増改築をしたようで、不思議で魅力的な建物になっています。築60年だそうですが、「その当時の具合をあえて残す、残せるところは残す、という風にリノベーションしたんです」と宇野さん。柱や壁には当時の面影がそこかしこに残っていて、床が斜めのところもあります。もはや建物自体がアートですね。
千鳥文化。溢れ出る個性と味わい。
千鳥文化。溢れ出る個性と味わい。
今では食堂やカフェ、展示スペースになっていたりワークショップを行ったりと、地域の方もクリエイターたち同士も交流できる複合施設になっています。
設計は北加賀屋を拠点にするドットアーキテクツ。
設計は北加賀屋を拠点にするドットアーキテクツ。
さて、次の目的地に向かう途中にも、各所にアート作品が。これも作品かな?と普通の建物や公園までアートに見えてしまう始末です。

「日本に来たら、絵を描きたい!とおっしゃる海外アーティストの方って多いんですよね。じゃあ、この壁どうぞ、って空き家などを提供するんです」
なんと自由…。ウォールアートも元の建造物を活かしたり、他の作品との繋がりが見えたりと、街全体が有機的な感じがするのは、その自由さから来るのかもしれません。
次に訪れたのは「MASK」。
MEGA ART STORAGE KITAKAGYAの略で、その名の通り、大型美術作品の収蔵庫。年に1回、一般公開する「OPEN STORAGE」を開催しているそうですが、今回は特別に案内していただきました。

入ってみるととにかく圧巻…!元は鋼材加工工場・倉庫だったとのことですが、その雰囲気はそのままに、巨大なアート作品がずらーっと並んでいて異様な存在感を醸し出します。いわゆる美術館のような場所でないためか、作品からより剥き出しの個性を感じるような気がして、圧倒されます。
7人のアーティスト(宇治野宗輝、久保田弘成、金氏徹平、名和晃平、持田敦子、やなぎみわ、ヤノベケンジ)の大型作品を保管しているそうです。※記事公開時
7人のアーティスト(宇治野宗輝、久保田弘成、金氏徹平、名和晃平、持田敦子、やなぎみわ、ヤノベケンジ)の大型作品を保管しているそうです。※記事公開時
きっかけとなったのは、様々なアーティストから大型作品の保管場所について悩みを聞いていたこと。それで、この工場・倉庫跡を活用することに決めたそうです。

アーティストの作品を無償で預かる代わりに「OPEN STORAGE」のときには協力していただくとのことで、なんとも美しいマッチングですね。
さらに、近所にある加賀屋小学校の1年生には、特別授業として年に1回開放しているそうで、これまた素晴らしい地域への取り組みです。

…と、すでに北加賀屋を堪能している気分ではあるのですが、まだまだ紹介しきれていませんので後編に続きます!


Text:tabigatari editorial department
Photo:Shinya Tsukioka



町全体から芸術的刺激を受けるには、大阪市の〈北加賀屋〉がおすすめ。

千島土地株式会社
一般財団法人 おおさか創造千島財団


所在地大阪府大阪市住之江区北加賀屋2丁目11番8号 千島ビル4階(Google Map
アクセス大阪メトロ四つ橋線・北加賀屋駅から直結
電話番号06-6681-7806(一般財団法人 おおさか創造千島財団 事務局)
URLhttps://chishima-foundation.com/ (一般財団法人 おおさか創造千島財団)
営業時間平日 午前9:30~17:30(一般財団法人 おおさか創造千島財団 事務局)

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。