冬立つという字のとおり、「立冬」とは暦上で冬の始まりをさします。木枯らしが吹きはじめ、冬の気配が感じられる季節です。しかしながら紅葉の見頃でもあり、実感としてはもっとも秋らしい時期といえるかもしれません。鮮やかに黄葉する銀杏、紅葉と四季桜の共演美なども見られます。そしてこの時期の味覚で外せないのがフグ。旬の味わいも秋から冬へと移ります。寒くなる前に秋と冬の境目を楽しみましょう。
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東京 × 風物
東京の冬のはじまりを散策。
東京都心といえば、巨大なビル群や無機質なコンクリートのイメージがあるかもしれません。しかし実は都内にも、季節を感じられる景色や歳時はたくさんあります。例えば11月下旬から12月上旬に見頃を迎える、明治神宮外苑の銀杏並木。青山通りの二丁目交差点から約300m続く、都内でも有数の黄葉の名所です。両側の歩道に、約150本の銀杏が並びます。辺り一面が煌々と輝く、幻想的な光景は、ぜひ一度観ておきたいもの。日中は大勢の見物客で賑わうこちらのスポット。ホテルに宿泊した翌朝、時間をずらして黄金色の絨毯を踏みしめながら朝のウォーキングはいかがでしょうか。
「酉の市」は、11月の酉の日に東京・浅草の鷲(おおとり)神社をはじめ、全国各地の鷲神社・大鳥神社で行われるお祭りです。開運招福、そして客を「取り」込む商売繁盛を祈願します。江戸時代、近隣に住む農民が、鷲大明神に鶏を奉納したのが起源とされ、今日まで続いています。名物は富を集める道具に見立てた、縁起物の熊手です。中には1mを超える大きさのものも。千両箱、鶴亀といった、さまざまな縁起物で彩られます。
東京では、鷲神社、新宿区の花園神社、府中市の大國魂神社を合わせて、三大酉の市といわれています。花園神社は駅からのアクセスが良く、また師走を迎える新宿の風物詩として、都会の真ん中に千灯を超える提灯が明かりを灯します。大國魂神社は、国の天然記念物として指定されている、馬場大門のけやき並木も見どころの一つです。
深まる秋東京の名所を、ぜひ散策してみてください。
愛知 × 食
冬の福(ふぐ)を食す。
多くの人に愛される高級魚、フグ。冬の季語でもあり、日本が誇る冬の風物詩の一つです。そのフグを楽しめるのが、名古屋から一番近い島、日間賀島。多幸(タコ)と福(フグ)の島と呼ばれるだけあってトラフグが名物なのです。
明治時代から、100年以上の伝統を持つトラフグ漁。俊敏に泳ぐフグを、延縄(はえなわ)を用いて漁獲します。1本の幹縄に枝縄をつけ、狙った魚だけを釣り上げられる、延縄漁は海洋資源に優しい漁法ともいわれています。
温かいふぐ鍋(ふぐちり)はもちろん、唐揚げ、皮ポン酢、ひれ酒など、さまざまな食べ方がありますが、なんといってもおすすめなのが、透明感がたまらない「てっさ(刺身)」。他の魚に比べて身が薄いのは、普通の厚さでは嚙み切れないほど弾力が強いから。一口食べれば笑顔になること間違いなしです。
またタコは、季節を問わずいただける日間賀島のもうひとつの名物。フグとタコの贅沢なコラボレーションを楽しめるのは、日間賀島ならではといえるでしょう。
さらに、日間賀島の近くにある篠島も伊勢神宮の神饌である御弊(おんべ)鯛と、フグの島といわれ海の幸グルメの宝庫として知られています。知多半島から高速船で約10分の日間賀島や篠島で、ぜひ冬ならではの海の幸を堪能してみてください。
愛知 × 花
魅せる四季桜と紅葉。
桜といったら春ですが、この時期に観られる桜があるのはご存知でしょうか。淡紅色をした桜の花びらと、燃えるような紅葉が同時に舞う。そんな非日常の景色に出会える場所が、愛知県豊田市にあります。四季桜と呼ばれるこの桜は、春だけでなく秋から冬にかけても花を咲かせる「二季咲き」が大きな特徴です。
豊田市では、11月中旬から12月上旬にかけて、小原ふれあい公園など各所で「小原四季桜まつり」を開催しています。四季桜は、江戸時代に漢方医の藤本玄碩が植え、大切に育てた木が評判を呼び、小原地区全体に広がっていったと言われています。現在、小原地区にはなんと1万本を超える四季桜が植えられています。紅葉との夢の競演は、ぜひ一度は目に焼き付けておきたい美しさです。
また、せっかく豊田市を訪れたなら、ぜひ足を延ばしたいのが全国有数の紅葉スポット、香嵐渓です。例年11月末まで、もみじまつりを開催しています。
巴橋から香積寺(こうじゃくじ)まで続く紅葉のトンネルや、朱塗りの欄干が映える待月橋(たいげつきょう)、赤いつり橋の香嵐橋など、巴川と紅葉のコントラストを楽しめる見どころがたっぷり。できれば時間をかけて、ゆっくり楽しみたいですね。本格的な冬が訪れる前に、自然美あふれる愛知を旅してみませんか。