焼けつくような暑さに本格的な夏の訪れを実感するなか、上昇した熱気を冷ましてくれる突然の夕立など、夏の雨が降る「大暑」。
この時期は、夏祭りなど各地で夏の伝統行事が行われます。名優チャップリンも愛した格式高き伝統漁や、非日常体験ができる滝行、そして熱気が充満する愛知の祭りなど、夏の旅は伝統文化の奥深さ、豊かな自然に日本の魅力を再発見できることでしょう。


※観光施設などの営業状況、およびイベントなどの開催状況については、お客様自身で事前にお問い合わせをお願いします。

鵜飼い イメージ
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岐阜 × 伝統
篝火が照らす幽玄の世界。


岐阜県の夏の風物詩のひとつに、鵜を操って魚を獲る伝統漁法「長良川の鵜飼」があります。毎年5月11日~10月15日の期間中、中秋の名月と増水時をのぞいて毎日行われていますが、水辺の涼が心地良いこの時期が観覧のベストシーズンです。

長良川の鵜飼の歴史は、正倉院に納められている文書から1300年以上と考えられています。鵜は視力が良く、人に懐きやすい習性が漁に適しています。また、鵜飼漁は魚の取り逃しが少なく、獲った魚が傷みにくいことが特徴です。

長良川の鵜匠は格式があり、「宮内庁式部職鵜匠」に位置付けられています。世襲制を取っており、鵜匠家に生まれた男性しか鵜匠に就くことができません。代々鵜匠は鵜を日々大切にしており、鵜もまた期待に応えるように魚を捕らえてきました。こうした鵜匠と鵜の深い絆を感じさせる長良川の鵜飼は、江戸時代には尾張藩主や松尾芭蕉を、現代においても国内外の数々の賓客を魅了してきました。特に喜劇王のチャップリンは2回観覧し、「ワンダフル」と絶賛したことが伝えられています。また、織田信長は長良川の鵜飼を「見せる」ことでおもてなしにした最初の人物だといわれています。

篝火の下で繰り広げられる鵜飼漁は実に幻想的で、鵜匠の「ほうほう」というかけ声、船頭が船べりをたたく「どんどん」という音は、残したい「日本の音風景100選」に選定されています。

目と耳で愉しむ鵜飼漁。古典的でありながら決して色褪せない長良川の鵜飼は、世界に誇れる日本の伝統文化として一度は目にしたいものです。


滝行 イメージ
滝行 イメージ

三重 × 体験
自然と向き合い心身を整える。


伊勢志摩国立公園内、伊勢神宮からも近い三重県鳥羽市の白瀧大明神は古くから自然崇拝の地域にあります。
白瀧大明神は行者山全体をご神体とし、かつて空海も選んだとされる修験者たちの聖地でした。そんな修験道の聖地において、暑さを忘れ無心に滝に打たれるという非日常体験ができることをご存知でしょうか。

一般的に滝行というと冬場に行う厳しい精神修行をイメージしがちです。ここでは滝行をすることで白瀧大明神に祈りを捧げると同時に、白瀧大明神に祈りを捧げる前に身を清めるという意味があります。大自然と向き合いリフレッシュするという、カジュアルな目的で参加される方もいるとか。滝行の場所まではガイドが案内し、滝行のレクチャーを行います。滝行に必要な装束ほか、タオルやドライヤーも無料でレンタルができるので初心者でも安心です。

また自然豊かな行者山は古来より神々と通ずる場所として信仰の対象とされてきました。山内には空海が座禅を組んだと伝わる弘法岩や役行者の地蔵といった修験僧ゆかりのスポットも点在しています。

滝行のほか、森の中に建てたテントでのサウナ体験では、森の中というプライベートな空間を独り占めすることができます。他にも森を散策し食養生を学べるウェルネスツアーに参加することもできます。都会ではできない、自然からエネルギーをチャージする体験の旅に出かけませんか。


豊橋手筒花火 イメージ
豊橋手筒花火 イメージ

愛知 × 祭り
身近な神に祈る夏の神事。


夏の訪れを告げるように全国各地で夏祭りが盛んに行われ始めるのもこの時期です。

そもそも祭りとは祀るという言葉を語源に持つように神さまにお仕えすることを指します。日本において神さまは、自然や衣食住など身の回りに存在する「八百万の神」という思想があり、森羅万象に神を感じる日本古来の考え方といわれています。

古来より伝わる神を祀る特有の祭事や神事が各地で行われますが、愛知県東三河では、例年この時期に手筒花火で有名な豊橋祗園祭が開催されます。吉田神社の例祭「祇園祭」は、江戸時代より花火祭としてその名を知られ、火によって悪霊放逐するという信仰から、毎年数百本の手筒花火が奉納されます。

また知多半島の先端に位置する豊浜では、重さ約1トンの巨大な鯛が街を練り歩き、豊漁と海の安全を祈る豊浜鯛まつりで知られています。

他にも一宮七夕まつりや尾張津島天王祭など愛知県特有の夏祭りが開催され、夏の熱気に負けない熱量が愛知県を包み込みます。


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