陶芸の町、岐阜県多治見市にある「多治見本町オリベストリート」。明治初期から昭和初期にかけて建てられた商家や蔵を残すと言われるレトロな街並みを、取材の合間に訪れました。
多治見駅から歩いて15分ほど、多治見橋を渡った先にあります。
多治見駅から歩いて15分ほど、多治見橋を渡った先にあります。
「オリベ」とは美濃焼のひとつである「織部」のこと。茶人でもあった武将・古田織部の名前から付けられています。400m程度つづく道を歩いていくと、やはり多いのは陶器屋さんや骨董品屋さん。古い街並みを活かした飲食店もちらほらと目に入ります。

しばらく歩いていくと、ファサードに素敵なタイルがあしらわれた「三角屋」というお店が目につきました。店内にはアンティークの小物や食器たちが並び、主にデッドストック品だというカラフルなガラスの器が、窓から差し込む光でキラキラしています。
奥には小上がりのような小さな部屋があり、ここは少し雰囲気が変わって、シックな器や小物たちの空間となっています。店内の至るところに観葉植物やドライフラワーなどが飾られているのですが、食器たちとのバランスがとてもセンスよく、どこを見ても心惹かれるお店でした。


本町オリベストリートをすっかり堪能し、多治見橋を渡って駅の方へ歩いていると、味わい深い佇まいのうどん屋さん「竹の子」を発見。年季の入った暖簾をくぐると、カウンターとテーブルのコンパクトな作りながらも、雰囲気があります。壁に貼ってあるメニューを見ると「ころ」とあり、聞くと主に東海地方で食べられているうどんだそう。

注文したのはもちろん「ころ」。なんの前知識もなく頼んだので、太いうどんの見栄えから、伊勢うどんのような柔らかい食感なのかなと思いましたが、食べてみるとしっかりとした歯応え。甘めのつゆで、つるつるシコシコとあっという間に平らげてしまいました。
帰り際に、お店の方に初めて食べたことを伝えると、「ころうどん」とひと口に言っても、店によって全然違うもの。うどんはつきたてが一番だから、今度は開店すぐに来てみるといいよ、と教えてくれました。


お腹もすっかり満足したあとは、笠原町まで足を伸ばして「多治見市モザイクタイルミュージアム」へ。外観が特徴的なフォルムで、前々から訪れてみたいと思っていた場所です。
実際に目の前にしてみると、くぼ地になった緑の芝生の中に、丸みを帯びた建物が盛り上がるように建っていまいます。絵画に出てきそうな曲がり小道を歩いていくと、これまた可愛らしい木のドアが。

よく見てみると、外壁には茶碗やタイルの破片が埋め込まれていて、同じ形はひとつとありません。それが規則的な模様となっていて、不思議と味わい深く感じます。
館内に入ってみると、1階は受付とミュージアムショップ。奥には体験スペースもあります。大きな階段を4階まで上がっていくと、テラスのような展示スペースが!

屋根が円形に切り取られ、そこにはタイルのカーテンが空に向かって広がっています。壁も床も白いタイルで気持ちのよい空間に、昔のタイル製品などが展示されてありました。
笠原町は釉薬を施した磁器モザイクタイルの発祥の地だそうで、2階、3階の展示スペースではタイルの歴史などを学ぶことができました。

そして、スタッフの方から特徴的な外観の秘密を教えていただきました!設計は、世界的にも有名な建築家の藤森照信氏によるものですが、タイルの原料を掘り出す「粘土山」をインスピレーションにして作られたそうです。まさに陶芸の町・多治見のシンボルですね!
建築のモデルとなった粘土の採土場。
建築のモデルとなった粘土の採土場。
多治見本町オリベストリートから、多治見市モザイクタイルミュージアムまで足を伸ばしましたが、今回訪れられなかった気になるスポットは、まだまだたくさんあります。これからもさらに多治見を探求していきたいと思います!


Text:tabigatari editorial department
Photo:Shinya Tsukioka



いつもと違う岐阜県観光には、多治見市の〈三角屋〉〈竹の子〉〈多治見市モザイクタイルミュージアム〉がおすすめ。
建築のモデルとなった粘土の採土場。
建築のモデルとなった粘土の採土場。

三角屋


所在地多治見市本町6丁目10-1(Google Map
アクセスJR多治見駅から徒歩15分(本町オリベストリート)
電話番号090-8550-6567
URLhttps://www.instagram.com/sankakuyatajimi/
営業時間12:00〜17:00
休業日不定休

 

竹の子


所在地    岐阜県多治見市本町3-92-1(Google Map
アクセスJR多治見駅から徒歩5分
電話番号0572-23-6679
営業時間11:00〜14:30
休業日水曜定休

 

多治見市モザイクタイルミュージアム


所在地岐阜県多治見市笠原町2082-5(Google Map
アクセスJR多治見駅から東鉄バスで「モザイクタイルミュージアム」
電話番号0572-43-5101
URLhttps://www.mosaictile-museum.jp/
開館時間  9:00~17:00
休館日月曜(休日の場合は翌平日)
※年末年始:12/29~1/3の間休館となります。

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。