思春期に身についた、音楽を聴いて自由にこころが旅する「時空を超えた旅」。

音楽を聴いて自由にこころが旅することは、僕にとって日常生活での束の間の楽しみ。いつでも瞬時にどこへでも、空想の世界なので無制限に移動することができます。見知らぬ土地を思い浮かべて歩きまわり、過去の人たちがその響きにこめた想いを体験すること。それは音楽を切符とした「時空を超えた旅」。思春期から無銭旅行のようなこの習慣は身について、自然と音楽が無いと生きていけなくなり、気がついたら音楽を聴く道具(スピーカー)を作る仕事をしていました。

木工作業をするときはいつも音楽を流しっぱなしにしていますが、ある曲が引き金となり、脳内旅行ではなく実際にその場に身を置きたい!という衝動にかられることがあります。その場合、曲のどこかの要素が実体験に基づいた記憶に直結しているような気がします。困ったことに、甘いノスタルジックな記憶だけではなく、忘れたいような過去がトリガーとなったりすることも…。フリーズ状態になっている自分の姿が目に浮かびます。もし親方が側にいたら(実際はいない)、「手が止まってるぞ!」って叱られてしまいそうですね。

さて、今回「旅ごころをくすぐる音楽」をテーマに選曲してみました。気軽に行ける国内旅行を念頭に、タイトルや歌詞が旅をイメージさせる日本の音楽を10曲。心がフッと軽くなって、旅に出かけたくなる何かのきっかけになれば嬉しいです。
 


1. 休暇届GONTITI
2. 秘密の旅 -Voyage Secret-コシミハル
3. Ancona王舟 & BIOMAN
4. 島へ武満徹
5. Yoitokosassa / よいとこさっさYasuaki Shimizu & Saxophonettes
6. Me, On The Beach渚にて
7. YamabikoSuzukiski
8. はるかなる山の呼び声 雪村いづみ
9. 夕やけ小やけ坂元輝トリオ
10. 貿易風加藤和彦
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Text:Ryo Aoyanagi
Cover art:Yoshiyuki Okada


青柳亮(あおやなぎりょう)

HORA AUDIO代表。スピーカー職人。『音楽の体温を伝える』をテーマに、手仕事でつくられた楽器のような木製スピーカーを通じて、暮らしに音楽が響く時間の心地よさを伝える活動を展開。滋賀県彦根市を本拠地に、ショールームhoraanaと工房を構える。
hora-audio.jp