悠久の歴史を感じる、お茶の都へ。
言わずと知れたお茶どころ、静岡県の中でも有数の産地である牧之原台地。温暖な気候のため4月下旬には新茶が味わえ、柔らかく肉厚な茶葉で作る「深蒸し茶」が主流だ。この日本茶をはじめ、世界のお茶に関するあれこれを体験しながら知っていける〈ふじのくに茶の都ミュージアム〉は、まさにお茶の発信基地。
園内には、江戸時代に活躍した茶人、小堀遠州の茶室を再現した建物も。建築史家の中村利則さんが当時の図面をもとに、当時の工法で作ったもので、茶道体験もできる特別な場所。だけど、もっと気軽にお茶の世界に入るには、ミュージアムショップがピッタリだ。
初心者も通も納得の品揃えで、旬のお茶を知る。
ミュージアムに併設するショップは、広々とした空間に圧巻の品数が並べられている。小堀遠州が提唱した「綺麗さび」(侘び寂びの中に華やかさを取り入れた考え)をテーマにしたインテリアモチーフで、すっきりと落ち着いたデザインでまとめられ、ショッピングしやすい。
店内には、静岡県内で作られる茶葉やティーバッグを中心に、急須や茶筒など道具も勢揃い。お茶を一から始めてみたい、という欲求にも応えてくれる。
いま飲みたい、贈りたいお茶を探す。
まずは、ここでしか買えないアイテムをチェックしよう。ミュージアムオリジナルの「綺麗茶」は、牧之原を代表する製法で作った“深蒸し茶”に“かぶせ茶”がブレンドされている。かぶせ茶とは、摘む前の一週間程度、新芽を遮光資材で覆って仕上げられたもので、煎茶と玉露の中間にある栽培方法。煎茶よりカテキンが少ないため渋みが控えめで、テアニンが多いため旨味が強い。甘味とコクが強い深蒸し茶との掛け合わせで、濃厚な味わいになっている。
好きなお茶をおいしく保管するために、茶筒も合わせて手に入れたい。光や湿度に弱いお茶は、缶に入れておくのがおすすめだ。開封して空気に触れると酸化が始まってしまうため、1ヶ月程度で飲み切れる容量を考えて選ぼう。気に入ったデザインのお茶缶なら、ティータイムがより楽しくなるはず。
そして今、お茶業界で注目を集めているのがボトリングティー。スタイリッシュなパッケージと、すぐ飲むことができる便利さで、おもたせにも重宝しそう。〈丸七製茶〉の「CRAFT BREW TEA」は、静岡、宮崎、鹿児島などのお茶を、最適な温度で抽出してから急速冷蔵したもの。色、香り、味に個性があり、ミュージアムの体験プランやレストランでの飲み比べでも違いを実感できる。いただくときは、ぜひワイングラスで。
「Benefitea®スパークリングティー」は、クラフト感のあるデザインが素敵。静岡県内のいろいろな製茶店のお茶に炭酸を加えることで、冷たくても芳醇な香りが堪能できる。ホームパーティーなどで、お酒が飲めない人のために用意しておくと喜ばれそう。
チョコレートで味わう、静岡のお茶。
抹茶好きの間では知られた存在の〈ななや〉では、抹茶の濃度にバリエーションのあるスイーツが評判。中でも7種類の抹茶とほうじ茶の食べ比べができるチョコレート「MATCHA7」は、店の一番人気だという。一番薄い「1番」の抹茶チョコレートでも、風味豊か。
お土産にはパッケージもかわいいタブレットチョコレートがおすすめ。〈ななや〉では、チョコレートをカカオバターから手作りしていて、ほうじ茶フレーバーは2019年に「インターナショナルチョコレート アワード アジア パシフィック」で銀賞を受賞した実力派。茶葉それぞれの味わいを感じるために、口の中でゆっくりと溶かしながら食べてみて。
お茶の香りを楽しむ、新旧アロマグッズ。
リラックスできるお茶の香りは、日々のルーティーンに組み込むと気分がスイッチできそう。1997年から作られるようになった茶香炉は、茶葉を温めることで室内にほのかな香りを漂わせる逸品。飲むだけではない、一歩進んだお茶の楽しみ方を始めてみよう。
身に纏える香りも。静岡県のお茶農家に生まれた調香師、太田奈月さんによる香水ブランド「NatsukiOhtaJapan」では、2016年から世界初の天然緑茶香水を展開。12星座をイメージしたシリーズなど、多様な香りを提案している。出先でも使えるミニボトルには、イラストレーターの米澤よう子さんが描いたイラストがあしらわれ、気分が上がる。
お茶の世界が広がる、充実のショッピング。
ショップのラインナップの中からは、日常のお茶から、特別な一杯まで、さまざまな時に寄り添うお茶が見つかるはず。お茶の新たな魅力を見つけて、暮らしを豊かにしよう。
Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto
いつもと違う静岡県観光には、島田市の〈ふじのくに茶の都ミュージアム ミュージアムショップ〉がおすすめ。
ふじのくに茶の都ミュージアム ミュージアムショップ
所在地 | 静岡県島田市金谷富士見町3053-2 |
アクセス | JR金谷駅からタクシーで5分ほど |
電話番号 | 0548-27-2988(株式会社 喜作園) |
URL | https://tea-museum.jp/shop.html |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
休業日 | 火曜(ミュージアムに準ずる) |
※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。