旅の気分を増幅させる、温もりのあるインテリアと料理。

今回目指すレストランは、愛知県高浜市にある。ここは三河湾に面した入江で、古くから瓦造りが盛んに行われてきた町。高浜港駅から徒歩で約10分という立地に、日本で唯一の“かわら”がテーマの美術館が建っていて、レストランはその一角にある。レストランの前には小さな公園があり、美術館から、公園から、とさまざまな入り口が開かれている。誰でも訪れやすい優しい雰囲気は、外観からも伝わってくる。
中に入ってみると、さらに魅力に引き込まれる。アーチ状の窓枠に、手書きのワインメニュー。まるでプロヴァンスの食堂のよう。インテリアは、隣町・刈谷の有名家具「カリモク」で揃えられているという。

柔らかな日差しが入り込む店内は、32席がゆったりと設けられ、広々としている。特別な日の食事にはもちろん、パーティにも重宝されているそうだ。ゆっくりと穏やかな昼下がりを満喫したい。
各テーブルには瓦もディスプレイ。エアプランツでおしゃれにコーディネートされている。
各テーブルには瓦もディスプレイ。エアプランツでおしゃれにコーディネートされている。

肩の力が抜けた、南仏料理のコース。


シェフを務めるのは、料理人歴30年以上という大参信行さん。名古屋のビストロなどで働いたのち、このかわら美術館にレストランを構えてから10年ほどになるという。大参さんのスタイルは、南仏料理にイタリアンや他のジャンルを掛け合わせた、緩やかなフレンチ。ベテランとなった今でも名店を食べ歩いては刺激を受け、自身の料理に取り入れているという。
この日のランチに登場した、「ポーク肩ロースのラグー、トマト仕立て」も、食べ歩きでインスピレーションを受けた料理の一つ。「肩ロースを塊で煮込み、輪切りで提供する豪快な料理に出会ったときは衝撃でした。すぐに自分でも作ってみて、今では自慢の一品です。豚肉は手間暇かければおいしくなる。この豚は、ミルポワ(さいの目に切った香味野菜)やハーブと共に3時間半かけて煮込んでいるんですよ」。ほろほろとほどけるような柔らかい肉質に、旨味がたっぷり出たソース。会話を楽しみつつ、じっくりといただきたい。
本日のランチは前菜、スープ、サラダ、お肉料理にパンかライス、デザートまでセットになって1,600円。
本日のランチは前菜、スープ、サラダ、お肉料理にパンかライス、デザートまでセットになって1,600円。
ビビッときたアイデアを逃さず、柔軟に取り入れるのが大参さん。前菜に登場した「魚介とスペイン産生ハムの和風ジュレ仕立て」は、イタリアンレストランでヒントを得て作った、大参さんの定番レシピだ。「和風ジュレなら、老若男女誰でも食べられる。幅広い層のお客様がいらっしゃるこの店にぴったりです」。使われる魚介は、三河湾直送の新鮮なもの。ジュレや野菜、生ハムと共に、さっぱりといただける。サラダには、自家製ドレッシングをかけて。人参、玉ねぎという2種のドレッシングは材料のほとんどが野菜だといい、「野菜に野菜をかけるような感じ」と大参さん。保存料や着色料も使われていない、ヘルシーさもうれしい。店頭販売もあり、リピーターが多いという。ボトルもかわいいから、食卓に置いておきたくなる。美術館の展示に合わせ、特別なコースを用意することも。メインの料理は、レストランのために高浜の陶芸家・森克徳さんが特別に製作した大皿に盛り付けられる。森さんは普段大皿を作ることはないというから、ここでしか出会えない作品だ。料理とのコラボレーションで、さらに魅力的に見えるはず。

 

手作りのスイーツを、別腹で。

ジェラート 季節のフルーツ添え550円。写真はゆずのシャーベット。
ジェラート 季節のフルーツ添え550円。写真はゆずのシャーベット。
スイーツも素敵。ティータイムまで、ゆったりと過ごしていたい。ジェラートに季節のフルーツが添えられたグラスデザートは、見た目にも味にもキュンとする。手作りのバニラアイスに加え、ジェラートはショーケースにある数種類から選べるという楽しみも。テイクアウト専用でジェラート単品もあるから、目の前の公園でいただくのも良さそう。その公園に面したテラス席で、風を感じながらのコーヒーブレイクも気持ちいい。コーヒーは、岡崎市にある〈自家焙煎珈琲豆専門店 樹の香〉にオーダーしているという、すっきりとしたオリジナルブレンドだ。合わせたいのは、「なごやか牧場」の焼きドーナツ。名古屋農業センターのミルクを使っていて、ほんのりとした甘みのある優しい味だ。素朴なドーナツも、「NARUMI」のプレートに乗せられてかわいらしい。

 

じんわりと元気になれるレストランへ。

この店の明るい雰囲気は、大参さんをはじめ、スタッフたちの人柄によるところも大きい。特別感はあるものの、リラックスして楽しめるのだ。「誰でも来やすいように」と、価格もリーズナブル。たとえば、ランチで一番人気だという黒毛和牛サーロインステーキのコースは2,500円。ちょっと特別な気分を味わいたいとき、訪れたくなる。

Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto



いつもと違う愛知県観光には、高浜市の〈レストランOmi〉がおすすめ。
 

レストランOmi


所在地愛知県高浜市青木町9-6-18
アクセス高浜港駅から徒歩約10分
電話番号0566-52-6566
URLhttp://restaurant-omi.com
営業時間カフェ9:00〜15:30LO(モーニング9:00〜10:00LO)ランチ11:00〜14:00LO、ディナー 17:30〜20:00LO
休業日月曜・火曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。