小さなギャラリーのようなショップへ。


谷口吉生さんによる建築が目を引く〈豊田市美術館〉は、前庭にある大池や回廊など、グランドスケープが魅力の一つ。豊田市駅から少し歩いた丘の上にあるからか、空も広く感じられる。無機質な建物と有機的な植栽が調和していて、気持ちの良い場所だ。

建物の外から、大きな窓で覗けるようになっているのが、併設のミュージアムショップ。窓際にはショップが催すフェアの商品がディスプレイされ、ブティックのショーウィンドウのよう。この日は、布や織物が飾られていて色鮮やかだった。

          

クールなデザインに囲まれた空間で、日常を楽しくするアイテム探し。


ここは、美術やデザインにまつわる出版物を輸入販売する「株式会社マイブックサービス」が受託運営。片側の壁は一面に本棚が備え付けられていて、細長いショップの中をゆっくり進みながらライブラリを見ていくのが楽しい。アートブックや写真集、展覧会関連の本はもちろん、小説や珍しい仕掛け絵本など幅広くラインナップされている。
ウッド調の温もりある雰囲気で、インテリアの参考にもなりそう。
ウッド調の温もりある雰囲気で、インテリアの参考にもなりそう。

「美術の世界への入り口になるような、わかりやすい本も多く揃えています。民芸やインテリア、クリムトと同時代のアーティストなど、少しでも興味のあるテーマの本を選んでいただければ」と、スタッフの方が選書のこだわりを話してくれた。

子供の目線に置かれた絵本は、大人の心もくすぐるものばかり。
子供の目線に置かれた絵本は、大人の心もくすぐるものばかり。

セレクトされた雑貨やアクセサリーもデザイン性のあるものがたくさん。オブジェのような文房具や照明など、ショップスタッフが国内の見本市を周り、買い付けてくるのだとか。

たとえばスチール製トレイ。カードや書類を立てて置ける実用的なものだけど、他にはないカラーとデザインで整理整頓が楽しくなりそう。プロダクトメーカー「100percent」による「カラーオブジェクト / デルタ」という商品で、「カラーオブジェクト」シリーズは組み合わせて使うことも可能。

デザインといえば、2015年にリニューアルした豊田市美術館の建築を手がけた谷口さんにまつわるアイテムも見逃せない。谷口さんはニューヨーク近代美術館(MoMA)をはじめ、国内外の美術館・博物館をデザインしてきた世界的建築家。その仕事を見るために豊田市美術館を訪れるファンは少なくないという。建築を美しく切り取った写真を施したポストカードやクリアファイルは、ショップでも人気だそう。

オリジナル商品も考案されている。モチーフは、美術館の所蔵作品でも人気が高い、グスタフ・クリムトによる「オイゲニア・プリマフェージの肖像」だ。パッケージに絵画をプリントしたティーバッグや、プリマフェージ夫人を模ったクッキーは飾っておきたくなるデザイン。地元の作り手とコラボレーションし、豊田市美術館ならではのアイテムに仕上がっている。アートが好きな人へのちょっとしたお土産にもおすすめ。

          

身に着けるアイテムも、旅先でブラッシュアップ。


本や雑貨だけでなく、ファッションを楽しくしてくれるアイテムも多数セレクトされている。ここで好きなものを見つけられたら、旅行中のコーディネートに加えてみるのもいいかも。

ファッションデザイナーとジュエリーデザイナーがタッグを組んでスタートしたクリエイティブソックスブランド「2nd PALETTE」もずらりと並んでいる。左右非対称の個性的なデザインの靴下で、足元からおしゃれに。


地域に根ざしたアイテムも。これは愛知県に伝わる三河木綿で作られたバッグ。元々三河木綿を材料に刺し子織という技法で道着を作ってきたメーカーによるバッグブランド「sasicco」のものだ。丈夫でしなやかなのに軽い生地は、日々持ち歩くバッグにぴったりだったのだという。刺し子織ならではの凹凸がある手触りも気持ちいい。

エコエコバッグ 5,500円。
エコエコバッグ 5,500円。
生地はもちろん、バッグの形も他にはないユニークなもの。それでいて、日常にも馴染む。舟形トートバッグ8,470円。
生地はもちろん、バッグの形も他にはないユニークなもの。それでいて、日常にも馴染む。舟形トートバッグ8,470円。

美術館の思い出をファッションアイテムとして持ち帰るなら、“人間が知覚できる万物、自然界と人間の境界の中で具体化して現れるものを収集”して作品にしているというアクセサリーブランド「phenomena collection」が展開しているコラボアクセサリーがおすすめ。美術館の展示作品をイメージするなど、さまざまなテーマで作られたブローチやピアスは、凛とした佇まいが素敵。スタイリッシュな印象を演出してくれるはず。

オリジナル視点のセレクトアイテムを見に行きたい。


店の入り口では、展覧会関連のグッズ、中央には常設展にまつわるもの、そして奥では独自のフェアを開催。訪れるたびに新しい発見ができそう。


Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto



いつもと違う愛知県観光には、豊田市の〈豊田市美術館 ミュージアムショップ〉がおすすめ。

豊田市美術館 ミュージアムショップ


所在地愛知県豊田市小坂本町8-5-1
アクセス豊田市駅からタクシーで5分ほど
電話番号0565-34-2522
URLhttps://www.museum.toyota.aichi.jp/visit/museumshop.htm
営業時間10:00〜17:30
休業日月曜(祝日を除く)、美術館休業日

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。