古地図を見ながら町の魅力を再発見


近年、ひそかにブームになっている古地図を使った街歩き。古地図とは近代以前に作成された地図のこと。古地図を見ながら歩くと、現代との違いを感じながら、昔の暮らしやその歴史に思いを馳せ、いつもと違った街歩きが楽しめる。見慣れた街並みでも、古地図によって新しい魅力を発見できるかもしれない。

今回は、JR東海の観光キャンペーン『#東京ゾクゾク』による「古地図で巡る!ぶらり東京街散歩」を体験! JR東海コラボのオリジナル御朱印の販売を行う、新選組ゆかりの地〈傳通院〉を訪ねた。古地図が見られる「ストリートミュージアム®」アプリをダウンロードして、幕末に活躍した剣豪集団、新選組の歴史を体感しに行く。

※御朱印の受け取りは事前の予約が必要です。
  
 

徳川家の菩提寺として有名な〈傳通院〉


東京都文京区小石川にある〈傳通院(でんづういん)〉は1415年(応永22年)、浄土宗第七祖の了誉上人によって「無量山寿経寺」という名で開かれた。

徳川家康の母・於大の方(おだいのかた)が逝去された際、寿経寺を菩提寺にしたことをきっかけに、徳川家と深いつながりのある寺院になったと伝えられる。以来、於大の方の法名「傳通院殿」にちなみ、〈傳通院〉と呼ばれるようになった。境内の墓地には於大の方をはじめ、徳川秀忠公の長女・千姫(せんひめ)など、徳川家由縁の女性の墓が多くあるため、「女寺」とも称される。
2012年(平成24年)に創建された二階建ての立派な山門。上部にはお釈迦様が祀られている。
2012年(平成24年)に創建された二階建ての立派な山門。上部にはお釈迦様が祀られている。
古地図を見ながら歩くと、かつては大きな敷地を有していたことがわかる。その広さは約10万坪にも及んだとか。現在の山門近くには僧侶たちの学寮が並んでいたことも地図から確認できた。
本堂は1988年(昭和63年)に建てられたもの。
本堂は1988年(昭和63年)に建てられたもの。
度重なる大火に見舞われ、一度は建物がすべて全焼してしまったという〈傳通院〉。昔に比べ敷地は縮小したが、戦後に本堂などが再建され、見事に復興を遂げた。
境内にある鐘楼堂。梵鐘のみ戦火を免れて残った。
境内にある鐘楼堂。梵鐘のみ戦火を免れて残った。
徒歩圏内には〈傳通院〉の塔頭寺院として創建された〈善光寺〉や〈慈眼院(じげんいん)〉なども。時間がある際はぜひ立ち寄って、かつての〈傳通院〉を想像しながら散策してみるのもおすすめだ。

 

新選組の前身である浪士隊が結成された処静院


そんな〈傳通院〉は、新選組とも関わりの深い寺院である。新選組の前身である「浪士隊(ろうしたい)」はこの地で結成された。浪士隊とは幕府の治安を維持する目的で集められた組織で、発起人は山形県・庄内藩出身の清河八郎だ。

1863年(文久3年)2月4日に、〈傳通院〉の塔頭寺院である「処静院(しょじょういん)」で、浪士隊の結成会が執り行われた。この結成会には後の新選組の総長・近藤勇をはじめ、土方歳三、沖田総司など総勢250人が集まったという。

「処静院」は廃寺となってしまったため、今はその姿を見ることは叶わないが、山門の近くにはその石柱が残されている。
石柱に彫られている「不許葷酒入門内」とは、臭いの強い野菜や酒を摂取した者は、神聖な寺院に入ることを許さないという意味。
石柱に彫られている「不許葷酒入門内」とは、臭いの強い野菜や酒を摂取した者は、神聖な寺院に入ることを許さないという意味。
この石柱から数十メートル進んだ先には、処静院跡を記す看板が設置されていた。今はすっかり住宅地になってしまったが、古地図を見ると確かにここも〈傳通院〉の敷地内だ。

結成会から4日後の2月8日、浪士隊の一行は京都へと旅立っていった。志をともにし、気概をみなぎらせた若者たちがここから大きな時代の渦に巻き込まれていったのだと思うと、なんとも感慨深い。〈傳通院〉には新選組の礎を築いた清河八郎のお墓がある。清河八郎と親交の深かった山岡鉄舟が、処静院の琳瑞(りんずい)住職に頼み込み、この地に埋葬したという。琳瑞住職は清河八郎と同じ山形の出身だったそう。敷地内には琳瑞住職のお墓もあるので、一緒にお参りしておきたい。
清河八郎のお墓
清河八郎のお墓

期間限定オリジナルの御朱印をゲット!


最後に観音堂に立ち寄り、限定の御朱印を受け取った。〈傳通院〉のご本尊・阿弥陀如来のまわりに、新選組の隊服でおなじみの白と水色のだんだら模様やシンボルである「誠」の旗、桜などがあしらわれている。旅の記念にぴったりのオリジナルデザインだ。今回、古地図を見ながら散策したことで、新選組の歴史をリアルに感じることができ、その空気感まで味わえる特別な旅になった。

過去と現在をつなぎ、その歴史を私たちに教えてくれる古地図。古地図との違いに気づいたら、その背景に目を向けてみるのも素敵な楽しみ方だ。ただ訪れただけでは味わい切れない、一歩深い魅力に触れることができた気がする。
新選組に関連する注目スポットはまだたくさんあるので、ぜひ周遊して楽しんでみたい。古地図を片手に新選組のルーツにより深く触れてみては?

 

※2025年9月30日まで



櫻田神社
東京メトロ「六本木駅」から徒歩約7分。新選組の一番隊組長で、最強の剣豪とうたわれた沖田総司がお宮参りしたと伝えられる神社。

▼プラン

【~新選組~沖田総司ゆかりの地】櫻田神社×JR東海コラボ箔押し御朱印
 


日野八坂神社
JR「日野駅」から徒歩約2分。新選組が崇拝した剣術・天然理心流の奉納額が安置されている神社。

▼プラン

【~新選組~剣士崇敬の地】日野八坂神社×JR東海コラボ切り絵御朱印
 


新選組のふるさと歴史館・日野宿本陣
JR「日野駅」から徒歩10~15分。新選組に関する貴重な資料を展示する新選組のふるさと歴史館と、近藤勇や土方歳三などが稽古を重ねた日野宿本陣。

▼プラン

【~新選組~土方と近藤が出会ったまち日野】新選組のふるさと歴史館・日野宿本陣共通入館券コラボ缶バッジ付き

 




Text & Photo:tabigatari editorial department




いつもと違う東京都観光には、文京区の〈傳通院〉がおすすめ。
 

傳通院(でんづういん)


所在地東京都文京区小石川3-14-6
アクセス都営地下鉄「春日駅」から徒歩約10分
バス停「傳通院前」から徒歩約1分
電話番号03-3814-3701
URLhttp://www.denzuin.or.jp/
営業時間9:00〜16:00
休業日無休

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