地元のクラフトビールを飲みながら本が楽しめる新刊書店
静岡県東部に位置する沼津市は、狩野川や愛鷹山、日本トップクラスの水質を誇る駿河湾など自然の美しさがあふれる地域。昔から商業や水産業が盛んで、食べ物のおいしさも魅力の町だ。そんな沼津の素晴らしさを伝える本屋〈リバーブックス〉を今日は訪ねた。
「もともと個性あふれる独立書店や、ギャラリーを巡るのが好きで、いつかは自分の店を持ちたいと考えていました。お店をオープンしたのは、沼津市の空き店舗活用事業のコンペを知ったことがきっかけです。締め切りが翌日だったので、急いで企画書を作り上げて応募したところ、なんと最優秀賞!お店を始めるチャンスを得ました」最初は会社勤めをしながら週末だけの営業でスタート。半年ほど経って軌道にのった段階で会社を退職し、書店一本に。
出版社勤務時代、ガイドブックの制作に携わっていた江本さんはその経験を活かし、本を販売するだけでなく、地元・沼津の魅力を多くの人に伝えるための取り組みに力を入れている。
そのひとつが地元〈沼津クラフト〉のクラフトビールの提供だ。店内では〈リバーブックス〉のために造られたオリジナルのビールや、時期で変わる〈沼津クラフト〉はじめ地元産のビールが楽しめる。さらに、お酒が飲めない人向けに「富士のほうじ茶」の提供も。富士市の茶農家から直接仕入れており、香り高いと人気だ。「沼津は海と川と山が揃い、豊かな自然がギュッとコンパクトに詰まった地域。程よいのどかさと、東京から1時間で来れるアクセスの良さが魅力だと思っています。アニメの聖地として観光客が増えたことをきっかけに移住者が増えましたし、活気のある個人店もたくさんあります。〈リバーブックス〉はそんな沼津の魅力を伝える観光案内所のような書店を目指しています」
お店の近くを流れる狩野川と江本さんの名前にちなんで、店名を〈リバーブックス〉に。
本好きな人から普段読まない人まで誰かの心に刺さる1冊を
本はすべて江本さんのセレクトで、エッセイやアート、歴史、建築と多ジャンルに及ぶ。どれも一般書店とは異なる、個性あふれるディープな選書だ。
「読書好きな人から普段本を読まない人まで多くの方が来るので、幅広いジャンルになるよう意識しています。どれか1冊でも誰かの心に刺さってほしいという思いで、手に取りやすい内容の柔らかな本や尖った本などさまざまな本を選んでいます。
2024年6月からは念願のギャラリーをはじめました。月1で企画展を行うほか、本の魅力を伝える刊行記念展も積極的に開催しています」
喫茶店は地元の方もいるし、観光客も訪れるような入り混じった場所。そこで会った人と交流し、外国人ならではの視点で町を切り取っているのがおもしろいと感じます。彼は写真家でもあるので、写真の雰囲気がすごく良くて、その点もお気に入りです」
「お店に来るお客様のうち8割が沼津市外の方で、『おすすめのお店ありますか?』と聞かれる機会が非常に多くあります。その際、ガイドブックに載っていないようなディープなスポットを紹介しているので、そういった情報をもっと多くの方に届けられたら、と考えています。リアルなメディアとして、情報発信のベースとなっていきたいですね」
最近では月1回の頻度で近所の飲食店などとコラボして、深夜営業を行っているそう。〈リバーブックス〉は、これからも沼津の魅力を積極的に発信していく。
Text:Ayumi Otaki
Photo:Shinya Tsukioka
いつもと違う静岡県観光には、沼津市の〈リバーブックス〉がおすすめ。
リバーブックス
所在地 | 静岡県沼津市下本町34 |
アクセス | JR沼津駅から徒歩約10分 |
@riverbooks_numazu | |
X(旧Twitter) | @Riverbooks_NMZ |
営業時間 | 平日・土曜 13:00〜20:00 日曜・祝日 13:00〜18:00 |
休業日 | 火曜 |
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