外への旅と、内なる旅で聴く音楽。
旅には実際に身体を動かし外に赴く旅と、自らの内へと入っていく旅があると思います。私はどちらの旅も大好きで、その最中に聴く音楽は「旅する身体つき」を与えてくれるもの。
外への旅で音楽を聴くのは、宿で洗濯物や荷物をまとめる時やコーヒーを探しに朝の散歩に外へ出かける時など、動き出すタイミングが多いです。Meshell Ndegeocelloや、Rusty Clarkはそんな時に聴く音楽。
内なる旅への入り口となるのもやはり音楽。
Pauline Oliverosのアコーディオンソロは、時間の繭のよう。どこまでも伸び重なる音の中で、過去でも未来でもない、今ここを味わう時間。一緒に住んでいる家猫の“きりん”も、Paulineの音楽が大好きです。家にいても私たちは一緒に旅へ出ることができるのです。
Bernard Fortのフィールドレコーディングに耳を澄ませる時間もまさに旅です。雨は足元へ降りだし、瞬く間に頭の上には蛙の鳴く山が・・・ 下流へと流れる水のせせらぎ、木々を揺らす風、雷、虫たち。
嵐が過ぎ去りトラックを聴き終える時、私はゆっくり自分の場所に戻ってきます。
1. I Wonder If I Take You Home | Meshell Ndegeocello |
2. Sleazy Sue | Wall Matthews & Rusty Clark |
3. Rattlesnake Mountain | Pauline Oliveros |
4. Nocturne Provencal | Bernard Fort |
5. Sand | Medeski, Martin & Wood |
6. Dawn of Time | Josephine Foster |
7. Tarde, de tu lado | Mono Fontana |
Text:Manami Kakudo
Cover art:Yoshiyuki Okada
角銅真実(かくどうまなみ)
音楽家、打楽器奏者。長崎県の山と川に囲まれ育つ。マリンバをはじめとする様々な打楽器、自身の声、言葉、身の回りのものを用いて、楽曲制作やパフォーマンスなど自由な表現活動を展開している。2024年1月にソロアルバム『Contact』をリリース。自身のソロ以外にバンドcero、dip in the pool、滞空時間など様々なアーティストのライブサポート、レコーディングに携わるほか、映画や舞台、ダンスやインスタレーション作品への楽曲提供・音楽制作も行っている。
Instagram:@manami_kakudo
X(旧Twitter):@Cat_typingg