2023年にオープンした女性による女性のためのブックカフェ
「以前、奈良の有名書店に伺った際に『収入を気にしなくて良いのであれば本屋さんをやってみたいんですよ』と話したら、店主さんに『本を買う人は割といるから商売として成り立つし、ライターとしてどこでも仕事ができるなら始めてみたら?』とアドバイスをいただいたことがあって。その言葉を真に受けて始めてみました(京極さん)」
ユーザーが交流できる場としてこれからも残していきたい
〈シスターフッド書店Kanin〉には地元以外に、SNSを見て遠方から訪ねてくるお客さんが多い。フェミニズムへの意識を持つ方、ジェンダーに悩む方もよく訪れ、店内で開催される読書会などのイベントなどをきっかけに新しい交流の輪が生まれている。
「フェミニズム関連の話題は、思想が強いと敬遠されがちな側面もあるのかなと思います。日常のモヤモヤした感情をここに来て共有したいと、コミュニケーション目的で利用される方も多いようです(京極さん)」
「この場があることが非常に大事なんだと思います。お客さん同士で自由に交流してくれるので、私たちはコミュニケーションの場を提供するだけで十分。これからもお客さんにとって居心地の良い空間を作っていきたいですね(井元さん)」
「文筆家・イラストレーターとして活躍する作者が、イランを旅するなかで出会ったさまざまな職業や境遇の女性とおしゃべりした記録を、似顔絵とともにまとめた本です。日本からも遠く、イスラム教国家であるイランは、日本人にとってあまり馴染みのない国かもしれませんね。でも、この本は章ごとにさまざまな立場の女性を紹介しており、社会や風習の違いなど異文化を感じられるとともに、日本との共通点も見い出せます。異文化を感じられる魅力は旅も共通だと思うし、読んでいると自分がその人と実際にしゃべっているような現地の空気を感じられます。コンパクトなサイズで旅のお供にもおすすめです!(井元さん)」
「エアラインでは女性が多く活躍しているので、フェミニズムの本としてもおすすめしたいです。エアラインの制服は、航空会社のアイデンティティを体現するもの。近年はパンツやスニーカーが認められ、ジェンダーレスを意識したデザインが取り入れられるなど時代とともに変化しています。ぜひ、エアラインの制服にも注目してみてください!」フェミニズムやジェンダーに関心がある人にとって憩いの場所になりつつある〈シスターフッド書店Kanin〉。2024年6月からは公認心理士である井元さんが、悩みを持った人向けにカウンセリングを行う「北白川相談室」をスタートした。「偏った本屋」だけれど、女性の心に寄り添うブックカフェは、今日もたくさんの人の心の支えになっている。
Text:Ayumi Otaki
Photo:Shinya Tsukioka
いつもと違う京都府観光には、京都市左京区北白川の〈シスターフッド書店Kanin〉がおすすめ。
シスターフッド書店Kanin
所在地 | 京都府京都市左京区北白川堂ノ前町1 デュ北白川105 |
アクセス | 叡山本線「元田中」駅から徒歩約14分、京都市バス「北白川別当町」から徒歩約2分 |
URL | https://kanin.base.shop/ |
@kaninbooks | |
営業時間 | 月・木・金12:00〜17:00、水12:00〜16:30、土・日12:00〜19:00 |
休業日 | 火曜 |
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