さりげなく置かれた名品に注目を。宝探しのようなショップへ。
三重県の伊勢湾沿いに位置する津市に、〈三重県立美術館〉がある。ここはJR津駅からほど近いのに、周りには閑静な住宅街が広がり、緑も多い。近所から散歩しにくる人が羨ましくなる、心地のいい場所だ。企画展は国内外のアートが集い、有名作品が展示されるイベントも巡回してくる。
併設するショップは、建物の一角にひっそりとある。この奥ゆかしく、飾り気のないイメージは、店内を見渡しても感じられる。が、じっくりと見ていると、ここでしか手に取ることのできないグッズや、この美術館だからこそ集まってきた民芸品など、多種多様な品ぞろえがおもしろい。
ちょっとしたプレゼントに最適な、値段もデザインもかわいいもの。
こちらは伝統的工芸品・伊賀焼のプレート。和菓子やおつまみなどを乗せる器としてだけでなく、コースターや箸置きにも使えるという。用途の幅広さで、贈る相手を選ばないのがうれしい。自宅用に複数買うなら、色をそろえてもバラバラにしても良さそう。
ショップには、地元作家の器がギャラリーのように飾られている。スタッフの方に聞くと、扱っている作家は10人ほどで、このように集まっているところは少ないという。なかには、三重県桑名市萬古焼焼色絵無形文化財保持者に認定され、国内外から注目されているという森一蔵さんの作品も。萬古焼や伊賀焼の素晴らしい作り手を見つけられるコーナーだ。
美術館に併設する〈ミュゼボンヴィヴァン〉の出口直希シェフが、伊勢市の和菓子店〈藤屋窓月堂〉とコラボレーションした「月と犬」シリーズ。こちらは「どらエピス」という、どら焼きをアレンジしたものだ。波照間産の黒糖、出口シェフ特製スパイスを効かせた生地に、粒あんや干しイチジクを挟んだ新感覚の味わい。どんなドリンクにも合いそうだ。
尾鷲市にある〈手作りジャム屋 可成屋〉の品も、入荷するとすぐに売れていくという人気の品。旬の果物や地産の食材を使い、マンゴーパインとキウイ、ブルーベリーバナナなど組み合わせが楽しいものも。
手にすると気分が上がる、カラフルな工芸品。
地元の工芸品の中にも、今のライフスタイルにフィットするものが見つかる。三重県の伝統工芸品、伊勢木綿は、しなやかで柔らかく、肌触りがいい。明治期には一大産業だったが、現在は津市の〈臼井織布株式会社〉のみが生産しているという。ミュージアムショップには、布巾など臼井織布のオリジナル品のほか、三重の伝統工芸を活かしてデザインする〈ichishina Design〉のアイテムも。ポーチや名刺入れ、トートバッグなど、好みのサイズや用途の品が見つかるはず。
アクセサリーが並ぶショーケースを見てみると、モダンなアーティストの作品が。こちらは津市で活動するアートガラスブランド〈comb de shio〉のもの。ガラスをキャンバスに見立て色彩を描いたものや、ひとつひとつ彩色するアクセサリーなど、どれも一点物だとか。お気に入りのデザインに出会ったら、ここで手に入れよう。
ほかには、七宝焼や真珠など、三重県にゆかりのあるアクセサリーが所狭しと並んでいる。じっくりと見て、自分好みのものを見つける感覚は、まさに宝探し。
伊勢志摩の魅力を見つける小さな旅。
こぢんまりとした店内に、ぎゅっと詰め込まれた三重県内の名品たち。ここに来れば、伊勢志摩の素晴らしい作り手、アーティストを知ることができる。大きな企画展のときには大混雑するので、時期を外して訪れるのがおすすめ。
Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto
いつもと違う三重県観光には、津市の〈三重県立美術館 ミュージアムショップ〉がおすすめ。
三重県立美術館 ミュージアムショップ
所在地 | 三重県津市大谷町11 三重県立美術館内 |
アクセス | JR津駅からバスで約2分 |
電話番号 | 059-223-1117(公益財団法人三重県立美術館協力会) |
URL | https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/ |
営業時間 | 企画展開催時10:30〜17:00、常設展のみ開催時10:30〜16:00 |
休業日 | 月曜、美術館の休館日 |
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