谷中、根津、千駄木。谷根千（やねせん）と呼ばれるこの地域は、昔ながらの東京の風情を残す人気のエリア。曲がりくねった道や、細ーい路地など魅力的な“道”が数多くありますが、今回は知る人ぞ知る通りを歩いてみました。
その名も「谷中キッテ通り」。千駄木駅にほど近い三崎坂と根津駅側にある三浦坂という二つの坂に挟まれた元々は名もない通り。すぐ近くには有名な「へび道」がありますが、こちらの通りも負けず劣らずの個性的なお店がたくさんあります。2016年にそれぞれの店主たちが集まって、通りに愛称を付けるための活動を開始。公募や話し合いの末、翌2017年には「谷中キッテ通り」と命名され、今では台東区に認められた正式な通りの名称となっているそうです。
三崎坂を歩いていると気になる看板を発見。桐箱が出した小物の店「箱義桐箱店」…これは惹かれずに入られません。お店は地下にあり、階段を降りると外の暑さが急に優しくなります。そして入り口のドアを開けた瞬間に桐の香りが…一気に涼やかな気分になりました。
お店に並んでいるのは様々な大きさや形の桐箱。これは何に使うのがいいかな…と考えながら見ているととても楽しくなります（欲しくもなります）。こちらのお店では桐箱の他にもセレクトされた雑貨などが置いてあり、その組み合わせも素敵です。
いきなりの1件目で買い物熱が発動してしまっては…と悩みましたが、どうしても欲しくなった紋様付きの桐のハガキと、鮮やかなペイント処理で現代的な雰囲気を持つ小さい桐箱を一つ購入。すっかりよい気分でお店を後にしました。
「箱義桐箱店」から三崎坂を挟んで反対側にも気になるお店を発見！「Bisucuit」という雑貨屋さんで手芸用品や紙雑貨、ピンバッチや文房具などかわいくて懐かしい小物が店の中にびっしり並んでいます。こちらでもドイツの紙袋と袋留めクリップをゲット。何に使うか…はいずれ考えます。
いよいよ本通りに入っていきます。歩いてすぐ左手には「TIM & SAILOR」という猫の雑貨のお店。谷中といえば猫ですよね。この日は暑すぎたのか道端の猫ちゃんには出会えませんでしたが、猫にまつわるお店や商品にはたくさん出会えました。
谷中キッテ通りは、基本的には住宅街。商店街のようにお店がズラーと並んでいるのではなく、途中途中にお店が現れる感じで、それがまたよい散歩のテンポを作ってくれます。それにしてもどのお店も個性的。それでいて、どのお店もどことなく「谷中っぽさ」を感じるのが面白いです。
ちょうど通りの中間あたりで道はカーブします。伸びやかだった通りの先が見えなくなり、後半戦の期待感が増しますね。
ほどなく、とても美味しそうな雰囲気の漂うお店が。こちらは「Succession」。迷わず入ってみると、カウンターに並ぶのは見るからに美味しそうな焼き菓子やパン。お客さんも途絶えず、地元の方でしょうか大量に買っていく人も。こちらも負けじ（？）とクロワッサンとマスカルポーネとマンゴーのバターサンド、そしてサブレのセットを購入！
美味しそうなものをゲットできて、足取りも軽やかに。少し歩くと左手に素敵な自転車がずらーっと並ぶ「tokyobike 谷中 Soil」。ウッディーな店構えがよい雰囲気です。そして、向かい側には緑色の丸っこいファサードが可愛い建物が。こちらには書店の「ひるねこBOOKS」と、セレクトショップ「Classico」が入っています。
そのすぐ先には「谷中キッテ通り」のシンボル、台東谷中郵便局が！通りのシンボルが郵便局というのも、町に根差した感じでとてもよいですよね。名前の「キッテ」には郵便局の意味だけではなく、“この通りの魅力をもっとたくさんの方に届けて、遊びに来て(kite)いただきたい。人と人、人とモノ、言葉と言葉を結ぶ切手(kitte)のように、地域の方や訪ねて来てくださる方と幸せなつながりをつくっていきたい。”という思いが込められているそうです。なんとも素敵ですね。
皮革小物を扱う「革匠谷中」を通り、お地蔵さんを拝みつつさらに進むと、いよいよ最終地点が見えてきました！
通りの“蓋”となるT字路（三浦坂）の手前にはカフェ「COUZT CAFE ＋ SHOP」が。この穏やかな雰囲気に吸い寄せられるようにお邪魔して、コーヒーを飲みながらゆっくり今日の散歩を思い出していました。
体力も回復したので、谷中キッテ通りから中間地点のあたりで1本枝分かれした道にも入ってみることに。これまた石垣が味わい深い素敵な道が。三崎坂の方に進むと、可愛い猫ちゃんのオブジェに出会いました。見上げると階段の上にももう一匹！こちらは一軒家を丸々使っているという「ギャラリー猫町」でした。
その他にも紹介しきれなかったお店がまだまだあります。各お店に置いてある地図（谷中キッテ通りの
HPにも掲載されています！）を片手に、ぜひ周ってみてください！
Text & Photo：tabigatari editorial departmentいつもと違う東京都観光には、台東区の〈谷中キッテ通り〉がおすすめ。
谷中キッテ通り
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