かねてからの夢を叶えた、居心地の良さにこだわった本屋
教師になることと、お店を開くことがかねてからの夢だったという佐々木さん。地元・青森で教師として活躍したのち、もうひとつの夢を叶えるため再上京。台東区にあるブックカフェ「ROUTE BOOKS」で店長を経験したのち、2019年1月に〈YATO〉をオープンさせた。もともと倉庫だった場所を知り合いの大工と一緒に改装し、佐々木さんも実際に手を動かしたという。他の現場で余ったタイルや端材などを使い、唯一無二の空間をつくり上げた。つい時を忘れてしまうような居心地の良さが魅力である。
街や人とつながりを生むようなお店に
「独立系書店はどうしても置かれている本が似通る傾向もあると思うので、少し工夫してこだわって、なるべくそうならないように本を選んでいます」
店をはじめる当初はペルソナを設定していたそうだが、実際には子どもから80代の方まで幅広い方が〈YATO〉を訪れている。近所の方だけでなく、日本全国・海外からのお客さんも多いそう。多くの方に愛される店づくりをしていることがわかる。
数多くの書店が載っている『IN/SECTS Vol.13』も本好きの方が旅先を決めるにはとても良い雑誌です。私も旅先で本屋さんを訪ねることが多くあります。特に何かに行き詰まったときに、思いつきで京都などに行き、新しいお店を訪ねて刺激を受けています」〈YATO〉の店名は、助詞の「や」、そして「と」が由来なのだそう。「本やコーヒーと〇〇」など物事の関係性を示す助詞に着目し、オープン当初はカフェスペースを設け、イベントなども行っていたという。コロナ禍の影響でカフェスペースが縮小し、本が増えてイベントをする場所がなくなってしまったため、現在は吾妻橋にイベントができる新店オープンを計画中(2024年1月現在)。
1階のカフェ・レストランの店名は「ORAND」。「や(or)」、「と(and)」を合わせた造語であり、佐々木さんの地元・青森の津軽弁「おらんど(わたしたち)」の意味も込められている。フランス語で「or」「and」の意味を持つ「OU ET(ウエ)」の名がつけられた2階は、イベントスペースの予定。〈YATO〉からは徒歩20分ほどの位置にあり、「この辺りのお店を周遊するきっかけになってくれたら」と希望を話してくれた佐々木さん。
Text:Ayumi Otaki
Photo:Shinya Tsukioka
いつもと違う東京都観光には、墨田区の〈YATO〉がおすすめ。
YATO
所在地 | 東京都墨田区石原1丁目25-3 |
アクセス | JR両国駅から徒歩約15分 |
URL | https://yatobooks.com/ |
@yatobooks | |
営業時間 | 14:00〜21:00 ※日曜は13:00〜20:00(変更も多いため最新の営業時間はSNSで要確認) |
休業日 | 水曜、木曜 |
※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。