酒場が融合した個性的な古本屋さん
東京屈指のサブカルの街として知られる高円寺。古着屋や雰囲気のよい喫茶店、活気ある商店街、ガード下のディープな飲み屋街など個性的なお店が多く、どこか親しみやすい雰囲気を醸し出す街。そんな高円寺に、古本屋と酒場が融合した〈コクテイル書房〉がある。「食べることは読むことに似て、作ることは書くことと同じではないのか」という思いを実現するため、小説に出てくる料理を再現した「文士料理」などを提供するユニークな本屋さんだ。
「高円寺は、“風通しのよい下町”といったイメージ。濃い付き合いはあるけれど、ほどよい距離感を保った人間関係が魅力の街でとても居心地がよいです。私のように地方から上京してきた人は、さっぱりとした人間関係を好みつつも、どこか寂しがりな一面も持ち合わせていると思うので、地方出身の人にも過ごしやすい雰囲気があると感じます」
「最近、高円寺は観光地化していて、土日にたくさんの人が訪れる街になりました。ここ数年で新しい本屋さんが続々と誕生しています。この店にも若い女性のお客さんが増えました」と狩野さん。街の人気もさらに高まっているように思える。
人や物が混ざり合い、さらに魅力を増す高円寺へ
〈コクテイル書房〉は当初、普通の古本屋だったそう。学園都市である国立市は大学が多く、集まる学生たちにお酒を提供するうちに、現在の古本酒場という業態となった。お店には本好きや、カルチャー好きの人たちが集まり、本や映画、演劇の話で盛り上がる。一人でも立ち寄りやすい温かな雰囲気が魅力で、リピーターも多い。
「日常生活が変わるきっかけとなるような本を置きたいと思い、セレクトしています。そう考えると、本と旅って似ていますよね。どちらも日常に彩りを与えるものだと思っています」
『東京近郊にこんな素敵な場所があったんだ』と読む度に新しい発見があって、東京がいかに多層的な場所なのかと気づかされましたね。私も散歩が好きなのですが、遠くに行かなくても非日常を感じられるし、東京の旅は目線を変えればさらにおもしろくなると思っています」
店名の「コクテイル」は「カクテル」のことで、“物事は混ざり合ったほうがおもしろい”という考えからつけられたそう。人や店、思い、さまざまなものが交じり合って、高円寺という街はもっともっとおもしろくなっていくに違いない。
Text:Ayumi Otaki
Photo:Shinya Tsukioka
いつもと違う東京都観光には、杉並区高円寺の〈コクテイル書房〉がおすすめ。
コクテイル書房
所在地 | 東京都杉並区高円寺北3-8-13 |
アクセス | JR高円寺駅から徒歩約5分 |
電話番号 | 070-6430-2603 |
URL | https://www.koenji-cocktail.info/ |
@cocktailbooks | |
営業時間 | 18:00〜23:00 |
休業日 | 日曜、月曜 |
※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。