滋賀県北東部の湖北地方に位置する長浜市。豊臣秀吉が初めて城持ちの大名となって開いた城下町です。ノスタルジックな建築物が建ち並び、情緒のあるスポットがたくさんあります。今回は、そんな長浜から船に乗って行くことのできる“神々が宿る島”と呼ばれる島が琵琶湖にあると聞き、足を伸ばしてみました。
と言いつつ、船が出発する時間まで少し時間があったので、腹ごしらえを。若狭から京都に続く「鯖街道」の通る長浜で、ぜひ食べたいと思っていた名物が「焼き鯖そうめん」です。その有名店「翼果楼(よかろう)」さんは、観光客で賑わう黒壁スクエアからすぐ近く。200年前の古民家を利用しているそうで、店内の雰囲気も素晴らしいです。
見てすぐにテンションの上がる麗しさ。
見てすぐにテンションの上がる麗しさ。
ほどなくして目の前に現れた「焼き鯖そうめん」。まず見た目の美しさにびっくり。深〜い出汁の味わいがそうめんに染み入って、色合いも素敵です。その上には見るからにほろほろと柔らかそうな焼き鯖。思った通りの濃いめの味付けで、旨味が麺に絡み合います。
最後の最後まで、しっかりと鯖の風味を感じることができて大満足でした。
海かと思っちゃいますが、湖です。奥の立派な船は教育学習船(!)「うみのこ」。
海かと思っちゃいますが、湖です。奥の立派な船は教育学習船(!)「うみのこ」。
お店を後にして、散歩がてらで長浜港へ。徒歩15分ほどで腹ごなしに最適な距離でした。
何度見てもその大きさにびっくりしてしまう“母なる湖”の琵琶湖ですが、この日は大変立派な船からぞろぞろと小学生が降りてきました。

そして我々が目指したのは竹生島(ちくぶしま)。琵琶湖の中では沖島に次いで2番目に面積が広いそうです。
乗り込んだ船はノスタルジックな色合いが素敵な「べんてん」。運航ダイヤはシーズンによって異なるようですが、毎日運航している定期便だそうで、長浜港からは30分くらいのクルーズです。

中に入ると広々と快適な船内。もちろん、せっかくなので2階席へ上がります。
見渡すととにかく広大な琵琶湖。デッキに出ると海風とは一味違う気持ちよい風が感じられます。船内では観光映像がナレーションとともに流れ、竹生島の予習もできました。
そうこうしている内に島へ着岸しました。竹生島の名前の由来は諸説あるようですが、そのひとつが「神の斎く(いつく)住居(すまい)」から「つくすまい」が「つくぶすま」と転じて「竹生島」になったというもの。長浜港を出た時は曇り空でしたが、着いた途端に日差しが…!陰影が神々しく感じます。
島には日本三弁才天の一つに数えられる宝厳寺(ほうごんじ)や、都久夫須麻神社(竹生島神社)があり、国宝や重要文化財など歴史的価値のある建築物も多く残されているとのことで、なるほど、“神々が宿る島”と呼ばれるだけのことがありますね。
上陸してすぐ、待ち受けていたのは「祈りの階段」とも言われる165段もの石段。そのまま宝厳寺の本堂へ続いているようですが、一つ目の鳥居をくぐると右方向にもう少し緩やかな階段が…。ついそちらの方へ足が向きまして、まずは都久夫須麻神社へ向かいます。
とはいえ、島全体が一枚岩(!)の竹生島。周囲は切り立った崖に囲まれていて、こちらもなかなかの高低差です。迎えたご本殿は、今から約420年前に豊臣秀頼が寄進した伏見桃山城の勅使殿を移転したものと言われていて、国宝。さすがの存在感です。内部は残念ながら現在非公開とのことでしたが、桃山時代ならではのきらびやかな装飾が施されているそうで、外観にもその片鱗が窺えました。
ご本殿の向かい側、「龍神様」が鎮座している竜神拝所は琵琶湖に面していて、まさに絶景。湖面には鳥居が突き出ていて、かわらけ投げができました。
竜神拝所の後ろには琵琶湖が広がります。
竜神拝所の後ろには琵琶湖が広がります。
もともと神仏習合の聖地だった竹生島は、都久夫須麻神社と宝厳寺が渡り廊下でつながっています。この渡り廊下は「舟廊下」と呼ばれ、秀吉公が乗った御座船を利用して作られたというもので重要文化財です。
この廊下が船櫓…どれだけ立派だったのかと思いを馳せながら、こちらも国宝の唐門をくぐります。
保存修理を進めている宝厳寺の観音堂。見上げると色鮮やかな天井が。
保存修理を進めている宝厳寺の観音堂。見上げると色鮮やかな天井が。
そして、いよいよ宝厳寺の本堂へ。厳島、江ノ島とならぶ三大弁才天の中で最も古く建立されたため、唯一“大弁才天”と呼ばれるそうです。

さらには、千手千眼観世音菩薩を納めた観音堂(こちらも重要文化財!)、綺麗な朱色の三重塔…と島全体がパワースポット呼ばれるのも納得。文化財の一大宝庫ともいわれる宝物殿も素晴らしかったです。
本堂(弁才天堂)。60年に一度、一般公開される御本尊に次にお目にかかれるのは2037年を予定しているそう。
本堂(弁才天堂)。60年に一度、一般公開される御本尊に次にお目にかかれるのは2037年を予定しているそう。
取材に訪れた時は彼岸花がそこかしこに。春には桜が素晴らしい景色を作るそうです。急な石段を登り降りする途中途中で琵琶湖を望むこともできて、その度に息を呑みました。
すっかり堪能しまして、しばしコーヒーを飲みながら(お土産屋さんやカフェもあるのです!)帰りの船を待ちます。
我々が乗ったのはその日の最終便のため、帰りは陽がだいぶ傾いています。船からは雲から湖に光が差し込んだドラマチックな「天使の梯子」が。すっかり気持ちが浄化されて街に戻り、また長浜の夜を楽しんだのでした。


Text & Photo:tabigatari editorial department


神秘の島で神聖な気分に浸るには、琵琶湖の北に浮かぶ〈竹生島〉がおすすめ。

翼果楼(よかろう)


所在地滋賀県長浜市元浜町7-8(Google Map
アクセスJR長浜駅より徒歩4分
電話番号0749-63-3663
Instagramhttps://www.instagram.com/yokaro__sabasaba/
営業時間10:30~売り切れ次第終了
休業日毎週月曜日・最終週火曜日 ※祝日の場合は営業(翌日休み)

琵琶湖汽船 竹生島クルーズ(長浜港)


所在地滋賀県長浜市港町4-17(Google Map
アクセスJR長浜駅より徒歩約10分
電話番号0749-62-3390
URLhttps://www.biwakokisen.co.jp/cruise/chikubu/
受付時間8:30〜16:30

 

竹生島 宝厳寺


所在地滋賀県長浜市早崎町1664-1(Google Map
アクセス長浜・彦根・今津の各港より汽船約25分~40分
電話番号0749-62-3390(琵琶湖汽船長浜港)
URLhttps://www.chikubushima.jp/
拝観料無料 ※竹生島入島料(大人 ¥600 小人 ¥300)が必要になります
拝観・納経時間9:30~16:30(観光船就航時間に基づく)

 

竹生島神社


所在地滋賀県長浜市早崎町1821(Google Map
アクセス長浜・彦根・今津の各港より汽船約25分~40分
電話番号0749-72-2073
URLhttp://www.chikubusima.or.jp/
拝観料無料 ※竹生島入島料(大人 ¥600 小人 ¥300)が必要になります
拝観時間9:30~16:30(観光船就航時間に基づく)

 
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