豊かな山中にそびえる、名建築でお買い物。

美術館棟は幻想的なトンネルを抜けた先にある。
美術館棟は幻想的なトンネルを抜けた先にある。

今回の旅の目的地は、滋賀県信楽にある〈MIHO MUSEUM〉。山中の道をぐんぐんと進んでいくと、イオ・ミン・ペイによる建築が出迎えてくれる。ルーヴル美術館の設計で知られ、幾何学の魔術師とも呼ばれた彼の作品の素晴らしさは、敷地内にいくつかある建物のうち、特に美術館棟で実感できる。この建物は、創業者の美術コレクションに合わせてオートクチュールのように設計されたものだという。

三角形を組み合わせたデザインの屋根や大きな窓に圧倒されていると、お目当てのミュージアムショップが目に入った。ガラスや陶器のアート、雑貨など、この土地の魅力を際立たせてくれるような品々がセレクトされている。太陽の光に照らされ、ゆったりとした空間の中で、ショッピングの時間を楽しもう。

ここでロングセラーなのが、日本を代表するガラス作家・扇田克也さんによる「HOUSE」。光を取り込み、ほんのり発光するかのような優しいオブジェだ。カラーやサイズにバリエーションがあるが、ここまで選択肢があるショップは貴重。思う存分悩める。  
3サイズあり、小5,500円、中11,000円、大22,000円。
3サイズあり、小5,500円、中11,000円、大22,000円。

ナチュラルな風合いのアイテムに癒される。


大自然の中に立つこの美術館は、創業者が自然を尊重していることでも知られている。そのためか、ミュージアムショップにも自然の素材を使ったアイテムが多い。

手に取ってみるとその軽さに驚かされる絹のストール。鮮やかな色は化学染料を使わず、紫草の根、紅花の花びら、茜の根など、自然界にあるもので色がつけられている。巻き方や布の重なり具合で表情が変わり、ファッションの主役になる存在感だ。モダンなチェック柄で、どんなジャンルのスタイルにも合いそう。リピーターが多いというのが、滋賀県で和ろうそくを100年以上作り続ける「大與(だいよ)」の「お米のろうそく」。米糠に含まれる蝋のみで作られ、環境や人に優しい側面だけでなく、蝋の垂れや油煙が少ないことも人気の理由だとか。
「大與」からは、「色ろうそく」もセレクトされている。柔らかな色合いで、飾っておくだけでも心が満たされるようなビジュアルだ。電気を消してキャンドルナイトをするのが楽しみになる。素敵な物との出会いは、ライフスタイルも豊かにしてくれるものだと実感。

 

自然を感じる小さなものをお土産に。


コロコロとかわいい木のキーホルダーは、徳島県で木のものづくりを行う「テーブル工房kiki」によるもので、使われる木の種類もさまざま。イニシャルやイラストが描かれていて、お土産にもぴったりだ。
大阪高槻で紙や皮を使ったプロダクトを作る「KAKURA」が美術館オリジナルで作ったのは、皮のブックマーク。「MIHO MUSEUM」の周りの自然や建築をイメージした柄が彫られ、一つ一つ手作りされているという。柄はどれも抽象的で、さりげないデザイン。ふとした瞬間に美術館の思い出に浸れそうだ。

「MIHO MUSEUM」の建築や自然を表したものは、写真やイラストのポストカードにも。創業者とともに絵本を作った画家の葉祥明(よう しょうめい)はコーナーが設けられていて、美術館をテーマに描いた葉書のほか、数々の絵本や絵画が置かれている。

季節に合わせて器を選ぶ。


実は、美術館の中にはミュージアムショップが3つあり(南館ショップは営業休止中)、レストランのあるレセプション棟では、日野椀、陶器などの生活雑貨や食に関する書籍が販売されている。この美術館棟のショップの方にも器は取り揃えられ、春・夏・秋の展覧会毎に合わせたラインナップに替えているそう

創業者が自然農法の食事を大切にしていたこともあり、ここでは食事が大切なテーマ。その想いに触れていると、今一度、食生活を見直してみたくなる。食材選びはもちろん、それを使って料理し、気に入った器に盛り付け、時間をかけて味わうこと。ここで見つけた皿を使えば、家に帰っても丁寧な食事を心がけられそうだ。

質感を愛で、心落ち着く生活に。


自然のぬくもりを感じられる品ばかりだから、買い物の時間は心が静かになっていくのがわかる。一つずつの手触りやディテールを堪能し、じっくりと吟味しよう。


Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto



いつもと違う滋賀県観光には、甲賀市信楽町の〈MIHO MUSEUM ミュージアムショップ〉がおすすめ。

MIHO MUSEUM ミュージアムショップ


所在地滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
アクセスJR石山駅からバスで約50分
電話番号0748-82-3411(美術館代表)
URLhttps://www.miho.jp/shop/
営業時間10:00〜17:00(最終入館16:00)
休業日月曜(祝日の場合は各翌平日)、冬季、展示替え期間

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