お客さまとの接点づくりのために始めたワークショップ。


JR豊橋駅から車で約20分。小松原街道を走っていると、大きな白い建物とレトロな倉庫が目に入ってきた。今回の目的地は植物とインテリアのお店〈garage TOYOHASHI〉。「植物と暮らす」をコンセプトにさまざまなイベントを実施するこの園芸店は、木のモノづくりを体験できるワークショップが珍しい。工作好きだけでなく、初心者にもおすすめなBOXづくりを体験してみた。
〈garage TOYOHASHI〉がオープンしたのは2007年。オーナーの二村昌彦さんの「植物を気軽に買えるお店がつくりたい」という想いから誕生した。しかしオープン当初は植物とインテリアを同時に扱うようなお店は珍しく、受け入れてもらうまでに時間がかかったと言う。少しでもお店に興味を持ってもらおうと始めたのが、木工のワークショップだった。
〈garage TOYOHASHI〉オーナーの二村昌彦さん。種苗会社の次男として生まれ、2007年にお店をオープン。
〈garage TOYOHASHI〉オーナーの二村昌彦さん。種苗会社の次男として生まれ、2007年にお店をオープン。
500円でつくれる小さな木のBOXに、植物を入れて持ち帰ってもらうという簡単なワークショップからスタート。その体験が好評で、徐々に訪れる人が増えるようになる。今では80cm規模のシェルフや50cmサイズのプランタースタンドなど、大型のモノづくりが体験できるワークショップとして話題に。毎月2回行われるワークショップはすぐ満席になってしまうほど人気だ。

 

古きよきものを大切にする、オランダの文化が店づくりに影響。


ワークショップを体験する前に、少し店内をのぞいてみよう。お店は天窓が印象的な「home(ホーム)」と、重厚感のある雰囲気の「yard(ヤード)」の2つの建物から成る。400坪の広大な敷地に鉢植えから大型の観葉植物、多肉植物までさまざまな種類の植物がそろっていて、まさに息をのむ美しさだ。
天窓から降り注ぐ日の光で、明るい雰囲気の「home」。
天窓から降り注ぐ日の光で、明るい雰囲気の「home」。
工場をそのまま店舗にした「yard」。
工場をそのまま店舗にした「yard」。
植物とともに、センスよくディスプレイされたインテリア雑貨や家具、食器類などにも注目したい。なかでも印象的なのがブロカントだ。

ブロカントとは、日本語で「古道具」のこと。二村さんがお店を立ち上げる前にオランダで修行をしていた際、雑貨屋や蚤の市を巡る中で出会った。使い込んだ味のある見た目は、植物との相性もよい。特に二村さんは、古いものを修理しながら大事に使うオランダの文化に感銘を受けたと言う。
その影響は店内の内装にも垣間見える。実は「yard」にあるカウンターや棚はオープン当初に二村さんの手作りしたもの。建築現場で使われていた足場板や、オランダから持ち帰ったリンゴの収穫箱など、使わなくなった素材をリメイクして活用している。
二村さん自作のカウンターと棚。
二村さん自作のカウンターと棚。
もともとホームセンターで働いていた二村さんは、材料や道具の知識を豊富に持っていた。魅力的なお店をつくるべく、DIYのノウハウを活かしてリノベーションを続けてきた経験が、現在のワークショップにもつながっている。

 

DIY初心者や女性でも気軽に楽しめる木工ワークショップ。

ワークショップの工房は「yard」の中にある。今回のワークショップではアンティーク風のツールBOXづくりを体験させてもらった。

難しそうに見えるが、材料を手順通りに組み立てるだけなので、初心者でも気軽にチャレンジできる。実際、体験に訪れる方はDIY初心者や女性が多く、ワークショップをきっかけにモノづくりにハマる人もいるそうだ。最初に材料や手順の説明を受ける。テーブルにはあらかじめカットされた板やビス、金具などの材料がテーブルに用意されていた。手順は大まかに板の塗装、組み立ての2つだ。
鉄工用のヤスリで表面を削っていく。
鉄工用のヤスリで表面を削っていく。
まずペンキを塗る前に、板の表面をヤスリで削ったり、ハンマーで叩いたりして痕をつけていく。このひと手間によって、ペンキを塗ったあとに使い込まれたビンテージのような質感が出る。ラフに仕上げても味わいになるので、思うがまま作業するのがポイント。次にブラウンのペンキを塗っていく。布を使って少しずつ色をのせるから、ムラになりにくく、初心者でも失敗しにくい。先ほど痕を漬けた部分は濃く色がついて、いいニュアンスに。
全部の板に色を塗ったら、さぁいよいよ組み立て。電動ドライバーを使って、ビスを取り付けていく。初めてでも講師の先生が使い方をしっかり教えてくれるから安心だ。コツは真下に力を加えること。始めは難しくても回数を重ねるうちにすっかり上達し、手さばきも様になってきた。一瞬でビスが埋め込まれていく感覚はちょっと快感だ。
最後に金具を装着し、ステンシルシールの上からスプレー塗料を吹きかければ完成。
約1時間の作業で、立派なツールBOXのできあがり。完成した後の達成感が病みつきになりそうだ。さらにそのまま工具箱として使うだけでなく、植物を入れてインテリアとして活用する方法も教えてもらう。試してみると思った以上の素敵な見栄えに感動した。〈garage TOYOHASHI〉ならインテリアのアイデアがどんどん広がっていきそうだ。

 

暮らしを豊かにするヒントを得られるgarage

植物の可能性を感じられる体験やアイデアが満載の〈garage TOYOHASHI〉。「目指したのは初心者向けのお店。だからこそ売り場の見せ方や接客に力を入れています。育て方や飾り方を知ると、植物のある暮らしをもっと楽しめるようになるはずです。お客さまがお気に入りの植物を見つけられるよう、これからもさまざまな提案をし続けていきたいですね」と二村さん。ここなら自分の感性をアップデートできるような新しい発見や、思わぬ気づきに出会えるはずだ。



Text:Ayumi Otaki
Photo:Yuki Arimitsu




いつもと違う愛知県観光には、豊橋市の〈garage TOYOHASHI〉がおすすめ。

garage TOYOHASHI(ガレージ 豊橋)


所在地愛知県豊橋市曙町南松原17
アクセスJR豊橋駅から車で20分
電話番号0532-38-8609
URLhttps://www.garage-garden.com/
Instagram@garage_toyohashi
営業時間10:00〜19:00
休業日木曜

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。