今も昔も変わらない、学生街にある喫茶店。


早稲田といえば知らない人は居ない有名大学のある地域。このあたり一帯は街と大学がひとつになっているような雰囲気で、早稲田大学とは縁もゆかりもない私ですが、近所に住んでいるのでふらりと散歩しに来るのが大好きです。そんな早稲田の地に、学生に愛され続けて32年を迎える老舗の喫茶店〈Cafe GOTO〉があります。
ここの自慢はなんといっても自家製ケーキ。偶然訪れた際にその美味しさに驚いて以来、定期的に食べないと禁断症状が出てしまうほどの“やみつきケーキ”です。お店を入ってすぐ、出迎えてくれるショーウインドーにずらりと並ぶケーキが圧巻。お店を訪れるたびにどれにするか迷ってしまうのですが、やっぱり一番人気の「チーズケーキ」に加え今日はもう一つ「ブルーベリーのクランブルチーズケーキ」も頼んで、贅沢にもチーズケーキの食べ比べ。奥の席でゆっくりといただくことにしました。

アクセントを利かせることで、美味しさが増幅するこだわりのケーキたち。


コーヒーはマスターの後藤さんのハンドドリップ。濃い味わいに、落ち着くアロマを感じます。続いてお店自慢のチーズケーキ。ひとくちいただけば、なんとも素朴な味わい。生地部分は粉のおいしさがしっかりと感じられ、チーズ部分は意外にも酸味がしっかりと効いているのがポイント。そのためか、くどくなくさっぱりといただけます。ブルーベリーのクランブルチーズケーキは、ほろサクなクランブル生地が少し甘く、チーズ部分はよりミルキー、そして中に入ったブルーベリーがとてもみずみずしくて滑らかな感じ。食べ比べると、同じチーズケーキでもそれぞれに味や配合を変えているのがよくわかります。
「キュルノンスキーって知ってる?フランスの有名な美食家。」と後藤さん。濃厚なチーズにはレモンの酸っぱさでキリっと引き締め、ミルキーで滑らかなものにはサクサクな生地でアクセントを。対比する要素を1つの料理に入れ込むことで、そのコントラストがより美味しさを感じさせることを味の対比効果というそう。キュルノンスキーの本などで、料理に関する様々なことを学んだそうです。「そういう知識がひとつあるかどうかで、美味しさが変わってくる」。

なるほど、まさにこのケーキはそれを体現しています。後藤さんの料理に対する美学がケーキひとつひとつに宿っているのですね。

これまでも、これからも。大切な時間を過ごさせてくれる場所。


いつも学生さんでいっぱいの少し賑やかな店内も、日曜の朝はゆったりとした時間が流れます。コーヒーの豆を挽く音、ケーキを仕込む音、店内に流れるクラシックが心地よく、文庫本の一つでも持ってきて、読みたくなる感じ。現にスマホやPCを開くより、本を読んで過ごす学生さんが普段も多い印象です。私も学生時代にこちらのお店に出会って、こんな時間を過ごしてみたかったなあ、と過ぎ去った日々に思いを寄せます。後日、早稲田大学出身の友人に取材に伺ったことを話すと、すぐに「懐かしい!」と反応。「あの辺りは古いお店がなくなってきているから、まだ続いてくれているのがすごく嬉しい」。

青春の1ページを過ごしたお店がこうして変わらず愛されているのはとても貴重で嬉しいこと。学生時代にはもう戻れませんが、私も今からGOTOで思い出を作り始めようかな。
壁にはお客さんからの手紙。海外からの便りも。
壁にはお客さんからの手紙。海外からの便りも。



Text & Photo:tabigatari editorial department




いつもと違う東京都観光には、東京都新宿区の〈cafe GOTO〉がおすすめ。

cafe GOTO


所在地東京都新宿区馬場下町7-3 林ビル 2F(Google Map
アクセス東京メトロ早稲田駅より徒歩1分
電話番号03-3207-9868
URLhttps://www.instagram.com/cafe_goto/
営業時間[月~土]
10:00~21:50(L.O.21:25)
[日・祝]
10:00~19:00(L.O.18:30)
休業日無休

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。