パノラマに広がる海と空が、穏やかなランチタイムを演出する。

今回の旅の目的地は横須賀。と聞くと、どんな印象を持つだろう。日本近代化のスタート地点ともいわれるこの場所は、アメリカに影響を受けた“スカジャン”やジャズなど、賑やかでカラフルなイメージが強いかもしれない。が、三浦半島の大部分を占める横須賀には、ゆったりとした東京湾を望める景色もある。
この日は桜が綺麗に咲いていた。
この日は桜が綺麗に咲いていた。
到着したのは、このオーシャンビューを眺めつつおいしいイタリアンをいただける「横須賀アクアマーレ」。ここでは、東京湾や相模湾の魚介類、三浦野菜など、横須賀の生産者から直接仕入れた食材をたっぷりと使っているという。オーナーシェフは南青山「リストランテ アクアパッツァ」の日髙良実さん。レストランが併設する「横須賀美術館」がオープンした2007年から、ここに店を構えている。

目の前の海には、1日約400隻もの船が行き交うらしい。原っぱの先を通り抜ける車、広い空を翔る飛行機も、レストランの中から見ているとのどかな風景。ほかにはない景色を堪能しながら、贅沢なランチをいただこう。

 

生産者から直接仕入れ、個性の違いも生かす仕立てに。


「横須賀アクアマーレ」では、ピザやパスタの気軽なセットメニューのほかに、本格的なコースも用意。前菜の盛り合わせ、パスタ、メイン、デザートまで、どの皿にも地元食材がたっぷり。
ランチコース3,800円。
ランチコース3,800円。
「都心にある『リストランテ アクアパッツァ』とは違い、店の近くに生産者さんがいるのがとても魅力。ランチとディナーの合間に農家を訪ねて、食材を仕入れることもできるし、魚は自分の目で見て選んだものが使えます」とは、キッチンを任されるシェフの須貝恵介さん。「野菜は、同じ野菜でも農家さんによって味が違うんですよ。その食材自体の良さが伝わるように、手をかけすぎない調理法を考えています」。魚も季節によって獲れる種類も変われば、脂の乗り方も変わる。この土地ならではのおいしさが表現されている。コースの一品目は、前菜盛り合わせ。この日は、ごぼうのアラビアータ、鯖のエスカベッシュ、ポロネギのマリネ、自家製ポルケッタに加え、「まぐろいも」と呼ばれる三浦のサツマイモを使ったポタージュが提供された。「『まぐろいも』は、マグロ加工で出る残渣(ざんさ)を肥料にして育てたサツマイモです。シンプルに味わってほしいから、ローストやポタージュにすることが多いですね」と須貝さんが教えてくれた。
パスタ・ピッツァは8種から選ぶことができ、今回はベーコンと新玉ねぎのアマトリチャーナをセレクト。ゴロっと大きめにカットされたベーコンはジューシーで、トマトソースがよく絡んだスパゲッティーニはツルツルと食べやすい。毎月1種、旬食材のメニューも選べるそうで、4月は春キャベツを使ったパスタが登場している。メインは肉か魚からチョイス。今回は平目のソテーをいただくことに。香ばしくしっとりと焼かれた平目の下には、こちらも香り良くソテーされたジャガイモが添えられている。イタリアンの定番、フレッシュトマトのケッカソースをかけて、さっぱりと。
 
料理と合わせてオーダーしたいのが、イタリア北部のフランチャコルタ地域で作られているスパークリングワイン。シャンパーニュと並ぶ上質なワインとされ、瓶内二次発酵を経て完成された一杯は、ゆっくりといただいて温度が変化してもおいしさを実感できるもの。コースの間じゅう楽しむのがおすすめだ。
食後はデザート2種付きで、この日は、安田養鶏場の卵を使ったプリン、グルテンフリーのチョコレートケーキ「ヘップバーン」。手作りのデザートにも力を入れているという。

 

ほっこり甘いドルチェで、ピクニック気分。

※美術館の展示内容は時期により異なります。
※美術館の展示内容は時期により異なります。
店前の通路には、丸テーブルが並んだテラス席も。ランチやディナー以外の時間にはカフェメニューやアラカルトを注文することもできるから、海風に当たりながら過ごすのも気持ちよさそう。
濃厚チーズケーキ650円(左)。イチジクとくるみのケーキ600円(右)。
濃厚チーズケーキ650円(左)。イチジクとくるみのケーキ600円(右)。
ドルチェは、コースにミニサイズでついていたチョコレートケーキやプリンのほかに6品ほど用意されている。イチジクとくるみのケーキには、さくらんぼが原料のリキュール、マラスキーノで柔らかく煮込んだドライイチジクが使われていて、香り高く優しい味わい。チーズケーキは、横須賀美術館の企画に合わせて作った期間限定の品が定番メニューになったものだそう。ニューヨーク風で、しっかりと濃厚な生地がコーヒーに合う。

 

抜群のロケーションと、軽やかなイタリアンで大人気のスポットに。

レストランのある横須賀美術館は観音崎公園の中に位置し、近隣住民には散歩のルートにもなっている場所。席が空くまでの待ち時間に美術館を利用する人もいるほど、レストランの人気はすごい。ぜひ予約して出かけよう。



Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto



いつもと違う神奈川県観光には、横須賀市の〈横須賀アクアマーレ〉がおすすめ。

横須賀アクアマーレ


所在地神奈川県横須賀市鴨居4-1 横須賀美術館内
アクセス馬堀海岸駅からバスで約10分
電話番号046-845-1260
URLhttp://acquamare.jp/
営業時間10:00〜20:00(カフェ&ケーキのみ20:00LO)、ランチ11:00〜15:00(15:00LO)、ディナー17:00〜21:30(20:00LO)
休業日年末年始12/29〜1/3(毎月第1月曜日の美術館休館日は営業)

※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。