穏やかな日々の暮らしの中で、ふと旅へと出掛けたくなる。
日々の暮らしは断然穏やかさを求めているのに、たまらなく非日常を欲して、ふと旅へと出掛けたくなるのはなぜだろう。
21歳の時、初めて一人旅をしたフランス、パリ。
フランス語はおろか英語だっておぼつかないのに、ホテルも決めず、スーツケース引っ張って一軒づつ交渉に。運よく「なんとかなった!」と安心して旅したものの、帰りの飛行機にまさか乗り遅れるという経験によって、「家に帰るまでが旅」、そう勉強してから早、何年。
国内外問わず旅先で分からないことは、ググるよりも現地の方に尋ねる派。欲しい答えが出て来たらラッキー、出てこなかったら得ていなかった情報として、嬉しい発見に!
交わした言葉は旅の思い出にもなり、「ここの方が見やすいから!」と運転手さんと二人きり、助手席の窓から景色を楽しんだマドリッド、「朝乗ったタクシーに遠回りされて!」と愚痴を聞いてもらったら、朝と同じドライバーさんだったモロッコ。「味見する?」屋台で売っていた大根ジュースを一口飲ませてくれた、インドの青年。「私の家も見て!」部屋を案内してくれたネパールの少女、「漬物食べてけー」山形のお母さん、「サメの珍味だから」と、隣に座る高校の校長先生がシェアしてくださった三重の居酒屋、「昨日で閉店しましたってうっそー・・・」となった、富士吉田のうどん屋さん。いつ振り返っても、こうした記憶は色褪せず、楽しい。
季節や天気はどんな?そこは街、森、海?
どこに行こうかと旅のプランを膨らませつつ、パリのラジオから流れてくるようなイメージで、選曲してみました。良い音楽の旅となっていただけたら嬉しいです。
1. ジョイント | 佐藤 博 |
2. Sympathique | ピンク・マルティーニ |
3. Les voyages | Jeanne Moreau |
4. Doop-Doo-De-Doop (A Doodlin' Song) | ブロッサム ディアリー |
5. Le cœur qui jazze | フランス・ギャル |
6. Jet Set | Claude Nougaro |
7. Mademoiselle | Henri Salvador |
8. La tesse de thé | Marcel Zanini |
9. Minas De Cobre (For Better Metal) | Calexico |
10. Pico Pico Robot Woman | Kumisolo, Joe Davolaz |
11. 世界各国の夜 | VIDEOTAPEMUSIC |
Text:Noriko Kato
Cover art:Yoshiyuki Okada
加藤紀子(かとうのりこ)
三重県出身。1992年歌手デビュー。CM、ドラマ、バラエティ番組などで活躍後、2000年から2年間フランスへ語学留学。昨年デビュー30周年を迎え、テレビ、ラジオ、執筆活動の傍ら、ライフワークとして畑での野菜作りは11年目に突入。
公式ブログ:「加藤によだれ」https://ameblo.jp/katonoriko
集英社オンラインメディア〈OurAge〉連載:「畑からこんにちは」https://ourage.jp/column/series/1067/
Instagram:@katonoriko