建築に込められた思いを受け継ぐミュージアムへ。
JR目黒駅から程近い、緑あふれるエリア。ここにある「東京都庭園美術館」は、アール・デコ様式を取り入れた旧朝香宮邸を利用した施設で、建築好きにもよく知られる存在だ。インテリアの装飾や、周りの庭園も当時の面影をよく残し、エレガントな空気を纏っている。
本館は、中に入る前からその意匠に惹きつけられる。窓ガラス、通気口、手すりなど、隅々まで装飾が施されているのが驚きだ。フランスのガラス工芸家、ルネ・ラリックなど、建設当時に活躍した有名アーティストの作品も多い。造形の一部は、ミュージアムショップで販売されるオリジナルグッズのモチーフになっている。
邸宅の装飾美術をかたどったアイテムを愛でる。
ここに住んだ朝香宮家は、パリでの生活を経て邸宅を建設。当時フランスを中心にヨーロッパで流行していたアール・デコ様式に魅せられ、積極的に取り入れたそう。簡潔で合理的なデザインを目指したアール・デコ様式は、直線的・幾何学的な模様が特徴。
一方、敷地内には茶室や日本庭園もあり、帯留や懐紙など和小物も取り扱っている。そこにアール・デコ様式の装飾を組み合わせた、オリジナルの和三盆が人気だ。
和三盆は、踊り場の照明と第二階段の丸窓をモチーフにした絵型のほか、四季折々の庭園をイメージした形が作られている。主な素材は「さぬき和三盆」。口に含んだ瞬間にスッと溶け、優しい甘さが広がる。色とりどりで美しく、お茶請けにすれば、旅の土産話も盛り上がりそう。
装飾デザインを使ったオリジナルグッズはほかにも。ポストカード、マスキングテープ、クリップなどさまざまなアイテムになっていて、日用品として便利なものが多い。
マグネット形式で服やバッグにつけられるバッジは、針を刺さずに使えるので安心。パステル調のカラーで、さりげないワンポイントになりそう。
ショッピングバッグの内側にも、邸宅デザインのモチーフが。こちらはラジエーターカバーを用いたパターンで、和三盆のパッケージにも使われている。
装飾や建築デザインに興味が湧いたら、本で知識を深めるのもおすすめ。「東京都庭園美術館」が掲載された書籍や、フランスの景色が見られるビジュアルブックなどが選ばれている。
学んでみると、建物をさらにじっくりと見学したくなるはず。おすすめなのは、建物公開の期間だ。美術館では年に1回、建物内部を撮影可能な企画展を開催。2023年は4月1日から6月4日までの「邸宅の記憶」にて。
ミュージアムの美意識を感じさせる、麗しきセレクト品。
オリジナルグッズ以外には、企画展に合わせたもの、フランス関連のものなど、巷の雑貨店ではなかなか出会うことのない品が集められている。
その中に、デザインの素敵なお茶を見つけた。こちらは、お茶にまつわるブランド「丗 SOU」が狭山丘陵で作る「東京茶」。お茶の種類ごとに違う柄の紙で包まれていて、糊付けもされていないから再利用ができる。一番茶の「摘」、ピリッと刺激的な唐辛子茶「巡」、生姜入り紅茶「誘」と、漢字一文字のネーミングも楽しい。包装紙で選んでもよし、お茶の種類で選んでもよし。嵩張らない大きさを見ても、ちょっとしたプレゼントに喜ばれること間違いなしだ。
海外の旅先で見つけたような、珍しくてかわいい輸入雑貨もたくさん。こちらは、色鮮やかなカラーやユニークな生き物が描かれたグリーティングカード。
イギリスの活版印刷ブランド「Archivist gallery」が一枚一枚丁寧に作っていて、凹凸のある手触りにも癒される。誰かに贈るだけでなく、飾っておくのも良さそう。
ステンシルやガラスペンなど、プラスアルファの楽しみがある文具も。じっくりと手紙を書く、静かな時間を作ってみたくなる。
女性客が多いというショップには、アクセサリーも充実。この、アール・デコ様式のように美しいイヤリングは、広島のビーズメーカー「トーホー」から生まれたジュエリーブランド「Tolerance」からセレクトしたもの。シルクオーガンジーに手作業でビーズが刺繍され、とても軽やか。
どんなコーディネートにも合うから、買ったその場で身につけられそう。旅の続きは、新しく手に入れたジュエリーをお供にするのもいいかも。
優雅な気分を取り入れたくなったら訪れたい場所。
Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakuto
いつもと違う東京都観光には、港区白金台の〈ミュージアムショップ リュミエール〉がおすすめ。
ミュージアムショップ リュミエール
所在地 | 東京都港区白金台5-21-9 |
アクセス | JR目黒駅から徒歩約7分 |
電話番号 | 070-1534-4878 |
URL | https://teien-art-museum-shop.com/ |
営業時間 | 10:00〜18:00(入館は17:30まで) ※美術館営業時間に準ずる |
休業日 | 月曜・展覧会準備期間 ※美術館休館日に準ずる |
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