雅な空気を感じて、贅沢なランチタイム。
東京都港区白金台。都心にありながら程よく喧騒から離れ、優雅なイメージでも知られる。ここに、一際ゆったりとして緑あふれる一画がある。〈東京都庭園美術館〉は、その名の通り美しく整えられた樹木とアートを楽しめるスポットとして、根強いファンのいるミュージアムだ。
本館は1933年に朝香宮邸として建てられ、アール・デコ様式を積極的に取り入れた建築。国の重要文化財に指定され保全されているこの建物だけでなく、庭園も当時の面影を残している。しかし、今回の目的地はその手前にあるレストラン「TEIEN Restaurant comodo」。こちらを目当てに訪れる人も少なくないという、ハレの日にぴったりの場所だ。
正門横にある1階建てがレストラン。2022年10月にリニューアルし、イタリアンをベースにした料理がいただけるようになった。入店するとまず、開放的な景色に驚かされる。フルハイトの窓が2面の壁を作り、四季折々の彩りを見ることができる。季節になれば、辺りは桜色に染まるのだとか。常緑樹も綺麗に植えられ、冬でもこの美しさ。この空間でのランチなら、週末には予約で満席になってしまうのも頷ける。
色彩豊かな料理が続くコースを堪能。
旬の食材を取り入れ、魚介類を中心とした軽やかな味わいの料理が特徴的。アラカルトもあるけれど、より特別な気分を味わいたいからコースを頼むのがおすすめだ。3つのランチコースはどれもプリフィックスになっていて、気分に合わせてカジュアルに楽しめるのがうれしい。人気は、平日限定のパスタコースだそう。
一品目の「前菜の盛り合わせ 庭園の装い」の爽やかな美しさにうっとり。魚のカルパッチョ、水牛のモッツァレラを使ったカプレーゼ、ニンジンのピュレ、国産牛肉の赤ワイン煮込みなどが、窓から差し込む日の光に照らされてキラキラと光っている。食材は安心安全にいただけるもの。レストランの運営は全国でホテルレストランやカフェを展開する「フードワークス」が行い、自社で作ったハムなどの加工品も使用しているという。
選べるパスタのうち、この日のラインナップにあったズワイガニとトマトのタリアテッレをセレクト。ほぐしたカニの身がたっぷりと入っていて、トマトの旨味と相乗効果がある。ほかの日にはフジッリやカサレッチなどのショートパスタ、リゾットのチョイスもあり、行くたびに違った味に出会えそう。夜のコースでは、自家製生パスタも登場するという。景色を楽しむランチ、料理とじっくり向き合うディナーと、気分を変えて訪れるのもいいかもしれない。
女性客に人気だというこのレストラン。デザートまで抜かりなく、キュンとする一皿が運ばれてきた。季節によって変わる内容は、やはりガーデンのような装い。写真は、プラリネとチョコレートのムース、抹茶アイス、フレッシュなフランボワーズなど、待ち遠しい春を思わせるようなプレートだった。
白でまとめられた器の中で、少し気になるのがオリーブオイル用の小皿。これは美術館オリジナルのアイテムで、本館の階段に用いられる飾りがモチーフだそう。食後は、どこにあるか探しに行ってみよう。
素晴らしい空間を、思う存分楽しんで。
ランチとディナーの合間には、カフェとしての利用もできる。ビビッドなピンク色と柔らかなイエローのコントラストが美しい「フリュイルージュ」はミックスベリーと洋梨のケーキ。ケーキは美術館の中にあるカフェでもいただけるが、ぜひこの広々とした空間でも味わいたい。
1ヶ月前からの予約ですぐに埋まってしまうというのがコーナーにある席。自然の中にいるような感覚で、穏やかな時を過ごせそう。桜や新緑の時期には、心してリザベーションを。
プチトリップの気分に浸れる場所で、豊かな食体験。
外のテラス席では、テイクアウトのサンドイッチなどを食べることもできる。「東京都庭園美術館」では、2022年夏に館長に就任した有名建築家・妹島和代さんが率いる取り組みで、建物と庭園のさまざまな楽しみ方が展開されていく予定だという。季節ごとに移ろう景色と料理を求め、また近いうちに訪れたくなってしまう。
Text:Kahoko Nishimura
Photo:Natsumi Kakutoいつもと違う東京都観光には、港区白金台の〈TEIEN Restaurant comodo〉がおすすめ。
TEIEN Restaurant comodo
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