また旅をして、想像しえなかった喜びに驚きたい。

体力の低下、捻出困難な時間、カネの心配、世界への不安。好きだった海外旅行が年を取るたびに遠くなっていく。ふと気がつけば、かつての希望は、やる必要のない、やる価値のないものに腐りはじめていて、行かない理由探しに飲み込まれ安住地に沈没。行動範囲はなるべく小さめ最優先は睡眠時間の確保と日々の通常運行。冒険は人任せ。

求めていたのはこれじゃない。留まることに反発し、旅に救われてきた人生ではなかったか。想像しえなかった喜びに驚いてきたじゃないか。全てはここに繋がっていたんだと涙したいはずだ。まだ早い。ネコ撫でるオンリーな生活はまだ早い。旅したではなく旅する。遠くへいく。歯を食いしばってひとりで外にでる。

旅しないわけにはいかない。自分を旅へと奮い立たせるためのプレイリストです。
いくぞ。
 

Text：Dai Kobayashi
Cover art：Yoshiyuki Okada

ダイ小林

初めての家出は小学校1年生。近所の犬小屋の脇に3時間滞在。 家出は放浪に変わり、ゆるーく旅して35カ国。1999年に13ヶ月かけて中国からポルトガルまでユーラシア陸路横断ひとり旅行。西荻窪のギャラリー＆ブックショップ、URESICAの店員。ネコに夢中。ネコは、びんすけとぼっちゃん。共に大食漢。