何をする訳でもなく、光や風を感じたりする事が、本来の旅の仕方なのかも。

旅をするとあれこれ事前に調べては予定を詰め込むタイプで。
以前は特に海外に行くことが多かったので次はいつ来れるか分からない！といった意気込みで美術館や観光地、レストラン、現地のカルチャーや自然に触れるなどとにかく好奇心が赴くままに飛び回っていました。

１人で各地を転々とすることも多かったので交通手段を調べたりスケジュールを考えるのも旅の楽しみの一つ。忙しいけれどそれはそれで充実感と良い疲労感があって好きでしたがここ数年は国内をゆっくりと旅することが多くなりました。

ただロングドライブをして森を散歩し、ビーチで寝転んだり。
すると眠りに帰るだけだったホテルにも早く帰り部屋で好きなワインをゆっくり楽しむなど違った楽しみが増えて、色々なものの見え方も捉え方も変わってきました。

ある人から観光って光を観ると書くんだよと教わり最近では本来の旅の仕方とはそういう事なのかなと考えるようになって。何をする訳でもなくそこに訪れて光や風を感じたりする事が一番のインプットで幸せなのではと思うようになりました。

夕暮れの光とかキラキラした新緑とか静かな湖とか。思い出のその瞬間に引き戻してくれて寄り添ってくれる。
そんな音がいつも傍にあればもっと旅が心地よくなるはず。
 

Text：Chiemi Tobe
Cover art：Yoshiyuki Okada

戸部千恵美（とべちえみ）

ファッションスタイリスト。
ファッションから広告、プロップスタイリングまで幅広く活動。サーフィンやスノーボードを通じて自然と触れ合うのが趣味。最近数年ぶりに南仏に出向いたのをきっかっけに国外への旅行熱が上がってきたところ。
http://www.chiemitobe.com/