車窓から外を見ていると、日常の檻からどんどん遠ざかって自由になっていく気がする。

昔はどこでもドアが欲しいと思っていましたが、今の私にとって旅というと目的地よりも道行きこそ大切な時間です。遠い国まで行かずとも、普段のテリトリーを出るだけで解放された気分になるのは、到着するまでの時間があればこそ。気圧に弱いのか空の旅だとすぐに寝てしまうのですが、名古屋や大阪に向かう時には、新幹線の中でイヤフォンをつけて本を読んだり書き物をしたりしています。目が疲れてしばし車窓から外を見ていると、たとえ行き先に待っているのが仕事でも、日常の檻からどんどん遠ざかって自由になっていく気がするのが、陸路ならではの魅力です。

と、いうわけで主に大阪に行くときに、流れていく景色を見ながら聴いているプレイリストを紹介します。テーマは疾走感と脱日常。個人的に「電車の旅と言えばこれ!」なゴダイゴや安室奈美恵から始まって、私の一番近い逃避先である大阪に近づくにつれてより開放的な曲になっていきます。オアシスだけは私のどのプレイリストにも入っているので深い意味はないのですが、全曲、日本と英国という私を育てた二つの故郷にまつわるアーティストから選びました。大人しく座っていますが、ザ・クラッシュのあたりで心の中では堪えきれず踊り狂ってる感じです。
 


1. 銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)ゴダイゴ
2. WhateverOasis
3. PARADISE TRAIN安室奈美恵
4. Down TownPetula Clark
5. BLUE BIRD浜崎あゆみ
6. Should I Stay or Should I goThe CLASH
7. バードメンTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT
8. Time for HeroesTHE LIBERTINES
9. ENDLESS TRIPHi-STANDARD
10. Don’t Look Back in AngerOasis
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Text:Suzumi Suzuki
Cover art:Yoshiyuki Okada


鈴木涼美(すずき すずみ)

作家。1983年東京都生まれ。慶應大環境情報学部在学中にAVデビュー、その後東大大学院社会情報学修士課程修了。日本経済新聞記者を経てフリーの文筆業に。書評・映画評から恋愛エッセイまで幅広く執筆。著書に『AV女優の社会学』『ニッポンのおじさん』『娼婦の本棚』など。最新刊『ギフテッド』が好評発売中。
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