小寒から始まり節分まで続く寒の内、「大寒」は最も寒さが厳しい時期にあたります。凍り豆腐や酒、味噌といった伝統食品は、この寒さを利用して仕込むものです。各地での節分祭が終われば立春を迎えます。一番寒さがこたえる時期ではありますが、晴天も多く、時には春の気配を感じるなど、旅行日和に恵まれやすいものです。この時期ならではの味覚も楽しみのひとつ。季節のとっておきを探しにいきましょう。
※観光施設などの営業状況、およびイベントなどの開催状況については、お客様自身で事前にお問い合わせをお願いします。
京都 × 風物
鬼を払い、福を呼ぶ。
「鬼は外、福は内」。特色のある節分行事が多い京都。この時期に合わせて旅行を組みたてるのも面白いかもしれません。
節分とは本来、季節の分かれる日として立春、立夏、立秋、立冬の前日を指すものです。旧暦では立春から新年が始まると考えられ、春の節分は大晦日の位置づけでした。一年の厄を払い、新年に福を呼び込む追儺式(ついなしき)が行われるようになり、今日の「節分祭」として受け継がれています。
京都では、節分において古来より「四方参り(よもまいり)」という参拝方法があります。これは、京都御所の四方を守る神社である吉田神社、八坂神社、壬生寺、北野天満宮をめぐるものです。四方参りの神社の節分祭についてそれぞれご紹介します。
吉田神社では、節分前日の夜に「鬼やらい」と呼ばれる追儺式が行われます。平安朝の流れを汲んだ古式の神事で、暴れる鬼たちを退散させて人々の幸福と平和な生活を願います。
八坂神社では、2日間にわたって豆まきが行われます。舞踊や舞楽の奉納も行われ、行事に華を添えます。
無言劇の壬生狂言で知られる壬生寺では、演目「節分」が公開されます。素焼きのお皿に墨で家族の年齢や性別を書き、厄除けを祈願して奉納する「炮烙(ほうらく)」も壬生寺ならでは。この炮烙は春期公開演目「炮烙割」の中で豪快に割られます。
そして四方参りの最終地点、北野天満宮では、追儺式で「北野追儺狂言」が行われた後に上七軒の舞妓や芸妓による日本舞踊が奉納され、豆まきで締めくくります。
勇壮であり、華やかでもある京都の節分祭。春の訪れを感じる旅に出かけてみませんか。
静岡・奈良 × 果物
旅先で出会う冬の味覚。
冬に甘いものが欲しくなった時には、現地で摘んだ新鮮ないちごはいかがでしょうか。近年はいちごがブランド化しており、続々と新しい品種が誕生しています。
静岡県では、章姫、紅ほっぺが有名ですが新品種のきらぴ香は、長い年月をかけて28万株の中から誕生しました。宝石のような輝きと上品な甘み、フルーティーな香りが特徴で人気を集めています。
奈良県では、アスカルビーや古都華でよく知られています。アスカルビーは、鮮やかな光沢で、甘味と酸味のバランスが良くジューシーなのが特徴です。古都華は、濃い赤色をしており、濃厚な甘みと豊かな香りがあるいちごです。
この時期はいちご狩りも盛況を迎えます。静岡県では、江間いちご狩りセンター (伊豆の国市)や久能いちご狩り(静岡市)で大粒で甘い章姫や紅ほっぺなどが食べられる代表的なスポットです。久能いちご狩りに行った際には、徳川家康を祀る久能山東照宮、感動的なビュースポットの日本平へも足を延ばしてみましょう。
冬の味覚として、静岡のおでんや奈良のにゅうめんもおすすめです。静岡・奈良のいちご狩りに訪れた際には、ぜひその土地の冬の味覚を味わってみてください。
愛知 × 味噌
赤味噌は味の名脇役。
名古屋とその近郊を中心に愛されてきた独特のご当地メニュー「なごやめし」。そのバリエーションは、和洋中からスイーツまで幅広く、個性的ながらも全国的な知名度があります。味噌カツや味噌煮込みうどんは、なごやめしの代表格ですが、なんといっても味の決め手は味噌にあります。
名古屋を含む愛知県や岐阜県、三重県の中京圏では味噌に赤味噌を使うのが定番です。愛知県では豆味噌ともいうように、その原料は大豆と食塩、水。甘みが少なく、濃厚で旨みが強いことが特徴です。ただ見た目と違い、塩分は他の味噌よりも低いのは意外かもしれません。
「寒仕込み」という言葉があるように、寒の内はおいしい味噌を作る仕込みに最適な時期。豆味噌は、蒸した大豆で味噌玉を作り、種麹をつけて十分に麹菌が繁殖したら水と塩を混ぜ合わせます。桶につめて重石をのせ、長期間熟成させて完成を待ちます。
1861年創業の西尾市の醸造元、はと屋では味噌と醤油を楽しむ「みそぱーく」を運営しています。工場や資料館の見学、味噌について学びながらのみそまる作り、直売価格での買い物など、様々な体験ができます。
岡崎にある八丁味噌の蔵見学もおすすめです。江戸時代初めに岡崎城から西へ八丁の距離にある旧八丁村で生まれた、カクキュー八丁味噌とまるや八丁味噌の2軒が伝統を守り続けています。歴史の重みを感じつつ、愛知の味噌文化を楽しんでみませんか。