処暑は「暑さが止む」という意味です。暑さが峠を越え、夜にはコオロギや鈴虫が鳴き、だんだんと夏が遠ざかるのを感じます。辺りには真っ赤な彼岸花が咲き、景色も少しずつ秋へと衣替え。この時期の楽しみといえば食とお祭りです。胃袋が求めてしまうとろっとしたマグロ、岐阜の郡上おどりでは「おどり納め」を迎え、大阪のだんじり祭では本祭を前に、だんじりの試験曳きが始まります。心躍るお祭りと旬な食で、夏バテ気分を吹き飛ばしに出かけませんか。


※観光施設などの営業状況、およびイベントなどの開催状況については、お客様自身で事前にお問い合わせをお願いします。

清水港(6月頃) イメージ
清水港(6月頃) イメージ

静岡・神奈川 × マグロ
旨味がぎゅっと、夏マグロ。


ビタミン類、鉄分、DHAなど多くの栄養を含み、貧血や動脈硬化の予防に良いとされているマグロ。
冬が旬のクロマグロはよく知られていますが、実は夏にも美味しいマグロが食べられるのです。

夏のマグロで代表的なのは、南半球に生息するミナミマグロ。
味もよく、大トロもとれる、クロマグロにも引けを取らない高級なマグロです。
ミナミマグロを始め、全種類のマグロを堪能できるのが静岡県。また、国内でも随一の水揚量を誇るのが、静岡県の清水港です。
清水港は日本三大美港の一つ。名勝・三保の松原にも近く、富士山を望む壮大な景観を楽しめます。

また、神奈川県・三浦半島の三崎マグロも夏が旬。三崎港もまた、全国屈指のマグロ漁獲量を誇る漁港です。極上のマグロを安く食べられるとあって、休日には多くの人が訪れます。
馬の背洞門は、城ケ島大橋を渡った先にあります。こちらは相模湾の波がつくった、高さ約8m、厚さ約2mの海蝕洞窟。時間によって色彩が変わり表情を変える馬の背洞門は、絶好のフォトスポットです。

海辺に旅行するときの一番楽しみは、新鮮なマグロ丼、なんて方も多いのではないでしょうか。ぜひ現地で美しい景色と夏のマグロを味わってみてください。


群上おどり イメージ
群上おどり イメージ

岐阜 × 盆踊り
下駄を鳴らして粋に踊る。


浴衣を着て、楽しく踊る盆踊り。
盆踊りは地域の親睦を深めるだけでなく、先祖の感謝や生きる喜びを表現し、自分に降りかかる災厄を払うという意味もあります。
特に岐阜県で行われる日本三大盆踊りの一つ、郡上(ぐじょう)おどりはすこし変わった盆踊りとしてしられています。

郡上おどりは、江戸時代に領民の融和を図るために行われたのが起源とされています。
7月のおどり発祥祭を皮切りに、8月13日から16日の徹夜おどり、そして9月の最終日おどり納めと、約30夜行われ、地元の人だけでなく、観光客も、一緒に輪になって踊ります。

バラエティー豊かな踊りが、郡上おどりの特徴です。
たとえば「三百」は、稲束を投げる所作や、田げたで湿田を歩く動きなど、素朴な農作業が振付や歌詞に取り入れられています。また「春駒」は手綱さばきの勇ましい姿が、威勢のよい踊りの動きに取り入れられています。横笛の音は馬のいななきを表現。軽快なバチさばきに合わせて踊ります。「猫の子」は、子猫の愛らしい所作を真似て動きに取り入れられた、奔放で愉快なおどりです。

もし郡上おどりについてもっと知りたいなら、ぜひ郡上八幡博覧館を訪れてみてください。こちらは大正時代に建築された税務署の建物を利用したミュージアムです。
こちらでは毎日、郡上おどりを実演。実際の振りをみることができます。楽しい踊りと美しい町並みで、日常から解放されたひとときを。


岸和田だんじり祭 イメージ
岸和田だんじり祭 イメージ

大阪 × 祭り
活気あふれる大阪の祭り。


だんじり祭で有名な大阪府岸和田市。だんじりとは、主に関西で使用される山車の1つです。だんじりを曲がり角で勢いよく方向転換する「やりまわし」は、まさに勇壮そのもの。だんじりの上に乗って指揮を執る大工方は、だんじりの花形です。

岸和田だんじり祭に関係が深いのが、岸和田城内に鎮座する岸城神社です。岸和田城の別名が「千亀利(ちきり)城」であることから、契り=縁結びを祈願し多くの人が訪れるスポットでもあります。

岸和田でぜひ訪れたいのが、岸和田城の近くにある岸和田だんじり会館。だんじりを格納している「だんじり小屋」をモチーフにした建物が目印です。大型のマルチビジョンで、迫力あるだんじり祭の雰囲気を体感できる施設です。現存する岸和田最古のだんじりも展示されています。

この時期の大阪は、各地でさまざまな祭りが催され、熱気に満ちています。大阪府池田市で毎年8月24日に開催される「がんがら火祭り」は、江戸時代から続く大阪の夏の風物詩です。愛宕神社の御神火を、五月山で「大一」「大」の文字に灯し、高さ4メートルの大きな松明が街をめぐります。また毎年8月26日には、大阪市此花区で「正蓮寺の川施餓鬼」があります。飢えや渇きに苦しむ霊を供養する、日本三大施餓鬼の一つです。「暑い暑いは天神祭、あついあついも施餓鬼まで」といわれ、大阪の人たちに親しまれています。いずれも、大阪市指定の〈無形民俗文化財〉にも指定されている、伝統あるお祭りです。ぜひ大阪を訪れて、大阪の祭りの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。